独身を幸せにする「エモい」という感情の正体 インスタ映えに熱狂する人の心理とは?

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「モノ消費からコト消費へ」と言われだしたのは、結構古くて、かれこれ20年近く前の2000年のことです。そして今、社会の個人化が進行するとともに、消費の世界においても個人化が進行しています。所有や体験はもはや手段と化して、そうした行動の大本にある精神的な安定や充足が目的化されるようになってきているのです。所有価値でもなければ、体験価値でもない、それらはパーツにすぎず、それを通じて得られる「精神価値」に重心が移行していくのです。それが拙著『超ソロ社会』で私が名付けた「エモ消費」であり、群から個の消費の比重が高まるソロ社会化において重要な視点となります。

家族とソロは、消費形態が全然違う!

「エモ消費」を説明するに当たっては、まず、家族とソロの消費形態が違うということを念頭に置くことが必要です。消費動向でよく使われる総務省の家計調査のデータですが、基本的には「二人以上世帯」のものが使用されています。しかし、それと単身世帯の数字を比べれば明らかに違いがあります。

おカネや時間をかけるべき対象としての興味関心について、ソロと家族とを比較した調査をご紹介します。ソロ男女と家族のそれぞれに「おカネと時間をかける対象として興味関心が高いモノ・コトは何か?」に対する回答を選択肢の中から選んでもらったところ、家族は「家族で過ごす時間」や「旅行」のほか、「衣食住」など日常的なものに関心が高いのに対して、ソロ男女は、「自分の趣味」「自分のための教養・勉強」「スポーツや筋トレ」「ネットワークや人脈作り」など自己実現や自己啓発関連に対する意識が高いことがわかります。

(注)数字は「非常に関心が高い」「まあまあ関心が高い」の回答数TOP2の合計値を算出したもの

これは、家族が現状に満足し、それを維持する「状態維持消費」傾向があるのに対して、ソロは現状を打破する「自己変革消費」傾向があると言えます。これは「40代独身者が『幸せになれない』根本原因」という記事で以前紹介した、家族とソロの幸福度の違い(ソロたちは家族に比べて現状の不幸度が高い)にも表れています。

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