「部下が『この稟議書を3日以内に通さないと間に合わない』と泣きついてきた。そう言われても自分だけで決められないので、サポートにも限界が。というか、もっと早く出せるだろう、と叱りました」(インテリア・43歳)
稟議は予想以上にかかるもの。忙しい決裁権限者が出張などで不在にし、1週間以上放置してしまうことも珍しくない。また、稟議に通らなければ、もう一度作成し直すこともある。にもかかわらず、「すぐに稟議が通る」と甘く見積もってしまう若手は少なくない。その結果、その案件に関するスケジュールが大幅に狂ってしまう可能性もある。
そうならないためには、稟議が通るまでの期間は長く見積もった上で、スケジュールを組むこと。また、できるだけ早めに稟議書を作成し、早めに稟議申請をすることも大切だ。
また、上司や役員の長期出張などの不在の予定を、秘書や同僚などに聞いて把握しておいたほうがいい。そうした状況をつかんでおけば、「いつまでに提出」というスケジュールも逆算することができる。
稟議書を出す前の「根回し」
ここまで稟議書の書き方について言及してきたが、稟議書を通す上で最も大切なポイントは別にある。それは、「稟議を回す上司などに根回しすること」だ。
海老原氏は、稟議書を提出する前に、必ず上司たちに「こんなことをやろうと思うんですが、良いですかねえ?」と軽く伝えていたそうだ。
「上司たちが嫌うのは、自分が聞いていない案件が、いきなり稟議書で回ってくること。そういった案件は『何かリスクがあるに違いない』といつも以上に警戒するのです。だから通りにくくなる」(海老原氏)
稟議書をあげてから「リスクが大きいので却下」といわれると、それを覆す理由を作るだけで大変な作業になる。しかし、事前に伝えておけば、その警戒感はなくなる。また、事前にダメ出しをされていれば、その部分を修正すれば、通りやすくなるし、そもそも「稟議書の内容説明のための呼び出し」という手間や、却下の可能性も少なくなる。
事前に伝える時のポイントは、稟議にかかわるすべての人に伝えること。「俺は聞いていない」となると、その人がダメ出しをしてくることもある。また、話は数分程度で済ますこと。忙しいなか、時間をとらせると、嫌がられるからだ。
また、その際に、「再来週には発注したいので、来週の前半までに決裁いただけると助かります」と、スケジュール感を伝えておくのも重要だ。
「いかにも日本的なムダな風習だ」と根回しを嫌がる人もいるかもしれないが、そんな小さなコミュニケーションをするかどうかが、後に大きな差となってあらわれる。そう考えたら、やらない手はないだろう。
以上の基本中の基本を守っていれば、稟議書が通らずに困ることはぐっと少なくなるだろう。稟議書を作成する必要がでてきたときには、ぜひ意識してほしい。
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