三木谷流「スパルタ英語」は小学生に通じるか 楽天の社内公用語化ノウハウを詰め込んだ

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「まなみ~」など、ITツールを用いる勉強法はまさに楽天流(画像:楽天)

子どもだましと思うかもしれないが、「中には小学3年生にして、数カ月間で高校2年生レベルの単語まで到達するほどのめり込む生徒もいる」(伴氏)というから、学習効率がいいのだろう。

こういったITツールを用いる勉強法は、楽天が英語の社内公用語化を進める際、特に効果が出た取り組みだった。「自分の成長を短いタームで確認できることは大きなモチベーションにつながる。また、スマートフォンやタブレットですき間時間に取り組めることも効率を高めた」(楽天の新サービス開発カンパニー教育事業部ジェネラルマネージャーの葛城崇氏)。

こと子どもの英語学習においては、ITツールは保護者からのニーズを満たすのにも役立っている。「まなみ~」とともに、生徒が予習に使うWebサイト「Rakuten Learning System」には、保護者も専用IDでログインでき、子どもの予習の進捗状況、教室での授業の進捗状況、プレゼンの動画などを閲覧することができる。

2017年初から約8カ月間行ったテスト授業の中で、葛城氏はこのシステムに一定の手応えを感じたという。「教室で何をやっているのか、ちゃんと身に付いているのかわからない、というのが、親御さんから最もよく聞かれる悩みだった。その点がシステムを共有することで解決し、とても喜ばれている。お子さんからしても、親にテストの結果やプレゼン動画を見てもらい、褒めてもらえるのはモチベーションになる」。

新しい学習法を示すショーケースに

テキストに用いられる「Rakuten Learning System」はタブレットやPCから閲覧できる(記者撮影)

授業料は1カ月あたり1万4800円(初月無料、入会金・教材費は別途必要)。「週1回75分という授業時間でこの価格なら、他社のサービスと比べても高くないはず」と、葛城氏は自信を見せる。

自由が丘校では10月のレッスン開始とともに、教育関係者の見学も受け入れていく。伴氏は「楽天流の新しい学習法を提案するショーケースとしての役割も持たせたい」と話す。2校目、3校目の展開については現段階では計画していないが、「需要があれば考えていきたい」という。

2020年からの学習指導要領では、今まで小学5・6年次で行われていた「外国語活動」の授業の開始が小学3・4年次に前倒しされ、5・6年次では、国語や算数と同様に成績がつけられる「外国語」の授業が始まる。英語学習に対する関心がいっそう高まる中、英語学習関連の事業が楽天の「新しい顔」として存在感を増すかもしれない。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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