上野御徒町、松坂屋の変身で「若返り」なるか パンダの赤ちゃんに続き新施設誕生で活性化

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松坂屋上野店南館の跡地の再開発は、松坂屋銀座店跡地に開発した「GINZA SIX」(ギンザ シックス)に続き、従来の百貨店モデルからの脱却を進めるJ.フロントの戦略を具現化したもの。大丸松坂屋百貨店や森ビルなど4社が共同出資した会社が運営するギンザ シックスも、入居するテナント店舗からの賃料を収益源とする。

J.フロントの山本社長は「(パルコではなく)百貨店という選択肢も経営的には十分可能性があった。ただ、伝統的な百貨店をやって本当にお客様に喜んでいただけるか。ターゲット層を拡大することのできる商業エリアを開発しようと考えた」と強調した。

パルコで30~50代を取り込む

松坂屋上野店は東京メトロ銀座線の上野広小路駅に直結し、日比谷線やJR、都営大江戸線の最寄り駅からも徒歩3分圏内と、都内各地からのアクセスは抜群。ただ、土地柄もあって客は60歳以上のシニア世代がメインとなり、ほかの百貨店よりも年齢層が高い。

周辺にはアメ横や大型ディスカウントショップのほか、老舗の小売店や飲食店がひしめく。その一方で、若者が買い物できるような大型商業施設は少ない。J.フロントは、パルコを入れることで幅広い世代を街に呼び込む起爆剤となると判断した。

フロンティアタワー地下1階に設置予定の上野案内所。上野の老舗・名店の品々を販売したり、観光案内を英語で実施したりする(写真:J.フロントリテイリング)

上野に出店するパルコが主なターゲットとするのは30~50代。20~30代を主力とする通常のパルコより、年齢層はやや高い。親子で松坂屋とパルコを訪れるケースなども想定する。

化粧品フロアは商品にこだわりを持つ高年齢層の客のニーズにも応えられるよう、ブランドごとに区画を取ったブティック型店舗を増やした。レストランフロアも地元の老舗店を誘致するなどの工夫を凝らす。

「ほかの地域でも、隣に百貨店があるとパルコのショップの効率はたいへん高くなる」(パルコの牧山浩三社長)といい、隣接する松坂屋上野店本館と補完し合うような品ぞろえを目指す方針だ。

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