「女神の見えざる手」が描くロビイストの裏側

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本作に登場する、ジェシカ・チャステイン演じるエリザベス・スローンは、クライアントの要望をかなえるために最適な戦略を立て、かつ一切の妥協は許さない敏腕ロビイスト。自分の生活のすべてを仕事にささげてきた彼女は、各地のパーティに顔を出しては、戦略の根回しを張り巡らせ、そこから裏情報をつかみとる。眠る時間すらも惜しむ彼女は、眠気止めの強い薬を常用。男性への欲求はエスコートサービスで満たしている。

そんな彼女が、銃規制法案に賛成の立場をとるロビイスト会社に移籍する。一方、古巣の会社は銃規制法案を廃案に持ち込もうとする側のロビイストとして活動、議員の支持を取り付けるために、双方が熾烈な戦いを繰り広げる。

時にはチームの仲間を欺き、そして時には仲間を傷つけることになっても、勝利をつかむためには手段を選ばない。そんなエリザベスのタフな姿は、悪役を主人公にしたピカレスクロマンや、ハードボイルド作品を見ているようにも思えてくる。

シェイクスピア劇のようなせりふの攻防戦

まるでシェイクスピアの悲劇作品のような重厚な演技合戦が繰り広げられていく © 2016 EUROPACORP – FRANCE 2 CINEMA

そんなエリザベスを演じるのはジェシカ・チャステイン。人種差別意識が根強く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に白人女性と黒人メードとの友情を描き出す『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』では、地元の慣習にとらわれない白人マダムを演じ、アカデミー賞助演女優賞にノミネート、国際テロ組織アルカイダの指導者オサマ・ビンラディンの暗殺作戦を描いた『ゼロ・ダーク・サーティ』では、主演のCIA分析官を演じ、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされている。そんな彼女の重厚な演技が、今回は見ることができる。

高校時代のチャステインは、かつて学校をサボってはシェイクスピアの本を読みふけるような少女で、後に名門ジュリアード音楽院に進学することになる才女。「ハリウッドで女優が演じる役は、男性目線から描かれたステレオタイプなものが多い。もっと女性のクリエーターが進出すべき」と語るなど、女性の権利を訴える論客としても知られる。

そんな彼女だけに「エリザベスは信じられないほどに頭脳明晰(めいせき)で野心家。勝つことに執着するが、実は心がもろい。演じがいのあるキャラクターだと感じた。ストーリーの全編にひねりがちりばめられ、先が読めると思ったら驚かされる。わたしはこのタイプの映画が大好きなの」と語るなど、この役を演じることに喜びを感じていたという。

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