「ジャケ買い」されるペット用品の真の実力 優れたデザインが商品を輝かせる

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なぜわざわざ、高知の魚を使うのか。その理由がもう一つの転機だ。

川村氏は、7年ほど前、高知県庁の産業振興部から、「中小企業が商品のコンセプトを伝えるために、発信や表現のノウハウを教えてほしい」という要請を受けた。広告のアートディレクターとして企業の商品開発やブランディングにかかわった経験を持つ川村さんは、月に3日現地に足を運び、現地で商品のコンセプト立案の仕方や、商品開発のイロハを伝えてきた。

その過程で、「品質にこだわりをもつすぐれた製品が、特色をアピールするのに、説明したいことが多すぎて埋もれてしまう」例を数多くみてきた。技術力も製品力も高いのに、強みをアピールできずに、大手流通会社に二束三文で製品を卸しているような会社が、高知には少なからずあったのだ。

高知に「隠れいてた」優良企業とコラボ

微生物の力を利用して、水や土をきれいにする技術を持つ、「上田微生物」という会社もそんな会社の一つ。高度な技術により、魚が見えないほど濁っていた高知城のお堀の水を透明にしたり、山小屋のトイレの汚物を減量したり、数々の実績で知られる。

デザインの力で商品のよさをアピールできないか――。早速、川村氏は、上田微生物と共同で、ペットのケア商品「ビオシャワー」を開発した。ペットの免疫力を高めたり、毛づやをよくしたりするだけでなく、消臭効果も見込めるペット用スプレーだ。原料は乳酸菌酵素とミネラル水、そして植物由来のさまざまな酵素。これらの菌が、犬や猫のすり傷や乾燥、かゆみ炎症とった皮膚のトラブルにも効果を発揮するとしている。

この商品をアピールするのに欠かせないのが、犬や猫、ウサギや鳥などが登場するイラストだ。

犬の頭の上に、鳥が止まっている絵もあり、「みんな友達という世界観」を表している。「微生物や菌といえば、ネガティブなイメージがあるので、言葉で説明して、理解してもらうのはハードルが高い。これは自分もオーガニックやビーガンについて説明しようと思うと、なかなか理解されないことも多い。ビオシャワーもまずは見た目で気に入ってもらい、使って『あれ、においが消えた』と気づき、使い続けてもらうのが理想です」(川村氏)。

猫・犬用の蚊取り線香「菊花のせんこう」も、デザイン性の高さでアピールすることを考えて作られた商品だ。天然素材だけで作られた蚊取り線香は、愛知県にある天然生活雑貨や無添加食品を開発・販売する企業とのコラボ商品として生まれた。

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