「ジャケ買い」されるペット用品の真の実力 優れたデザインが商品を輝かせる
りりしい横顔の黒犬と、愛嬌のある黒猫。思わず手に取りたくなるパッケージで人気のペット用品がある。デザインやビーガン(菜食主義)レストラン運営を手掛けるエイタブリッシュの「Apollo and Char(アポロ・アンド・チャー)」と呼ばれるシリーズだ。
洗濯洗剤や掃除用具、化粧品など日用使いする消耗品であっても、日常空間に「映える」デザイン性の高い商品を選ぶ人が増えている。アポロ・アンド・チャーの商品も、ペット用品とは思えないほど、見た目の充実度が高い。
「成分は○○ですよと、商品のこだわりを説明しても、伝わりにくいことがある。パッケージのデザインで『ジャケ買い』をして、よさを実感してもらうほうが早いと思います」と、デザインを担当するエイタブリッシュ代表の川村明子氏は話す。
ペット用とは思えないぜいたくな素材
アポロ・アンド・チャーは、すべて天然素材で作られているのが売りだ。主なラインナップは、猫や犬・小動物用のサプリメントからおやつ、蚊取り線香まで幅広い。現在は、主に東京のセレクトショップなどで販売している。そして、この商品のもう一つのセールスポイントとなっているのが、グラフィックデザイナーとしても活躍する川村氏によるイラストである。
たとえば、犬猫用の「海のおやつ」シリーズは、うす茶色のパッケージに、主役である2匹のマークが入ったシックなデザイン。カラフルなロゴの下には、さりげなく魚たちが泳いでいる。パッケージを裏返すと、魚や削り節など、おやつの中身が見える。桜チップのきびなご燻製、天然スモーク鰹、天然宗田鰹チップスなど、ぜいたくな品ぞろえだ。思わず自分の酒の肴(さかな)にしたくなるほどだが……。
「ペット向けのため、塩味など調味料は使っていませんが、添加物も保存料入っていないので、私たち人間も安心して食べることができます。地方のデパートで販売したところ、『やっとペットと一緒に食べられるものを見つけた』と喜ばれました」と川村氏は話す。
価格はたとえば、桜チップのきびなご燻製が50gで880円、天然宗田鰹うす削り節が20gで600円と決して求めやすい価格とはいえない。それでも、川村氏が素材やパッケージにこだわる理由は何なのだろうか。それ以前に、なぜペット用品にかかわるようになったのだろうか。
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