オリンピックを、東京に決めさせるには?

「他人に重要な決断をさせる」ための、マル秘テクニック

戦略の「3C分析」にならって、決断を促せ

読者の中には、戦略論で言う「3C」(customer=顧客がいる市場、competitor=ライバル、company=自らの会社=つまり自分、の略)の枠組みを、ご存知の方も多いと思う。実は、この理論は、「決断」にも応用が可能だ。

まずは顧客(がいる市場)である。つまり「マーケットの仕組み」を知ることであり、要は「誰がどういうメカニズムで決断を行うのか」を知ることだ。オリンピックの開催地は、IOC委員の投票で、過半数を取れば決まる。今回は、東京、イスタンブール、マドリードの候補3都市の中で、1位の都市が過半数に至らない場合は、上位2都市での決選投票になる。

そうなると、投票権がある97人のIOC委員(欧州39、アジア22、アメリカ18、アフリカ12、オセアニア6、2日現在)が、何を重視して決断する傾向があるか(セグメンテーション)を考える。そのうえで、どの層を狙って何をアピールするか(ターゲティング)が、重要になる。これはビジネスとまったく同じだ。

残りの2つは「ライバル」と「自分」を知ることだ。もともとイスタンブールは、「イスラム圏で初の五輪」という差別化要素を打ち出し、一方マドリードは、大票田の「欧州委員への外交力」が大きな武器と言われていた。ビジネスに例えれば製品優位性があるイスタンブールと、営業力のあるマドリードか。

対して東京は、「Discover Tomorrow」という対外的には今ひとつはっきりしないスローガンの下、財政や運営面での「安全・安心・確実」という面を訴えたがインパクトに欠け、IOC委員へのコネクションも弱い。東京は今年の前半までは、落選候補とみられていた。

しかし、である。環境変化と敵失が生じたのだ。

次ページ一挙にひっくりかえすチャンスが到来したが…
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