ユーロ高・ドル安は、一体いつまで続くのか 米独の金利差では説明できないユーロ高

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たとえば、8月25~27日に米ワイオミング州ジャクソンホールで行われたカンザスシティ連銀主催のシンポジウムが挙げられよう。FRB(米国連邦準備理事会)のジャネット・イエレン議長、ECBのドラギ総裁の講演に注目が集まったが、いずれも金融政策についての言及はなかった。

本来であればノーイベントであるはずだが、市場では一部、イエレン議長が利上げに言及するのではいかとの見方もあったため、年内利上げへの期待が後退する中、ドルが下落。一方、ドラギECB総裁は講演後の質疑応答で、ユーロ圏のインフレ率はまだ目標に達しておらず金融緩和は正当化されるとの、どちらかといえば「ハト派的」な見解を示した。しかし、ユーロ高に対する警戒感は示さなかったことから、むしろユーロは上昇した。

このように、イエレン議長が金融政策に言及しなかっただけでドルが売られたり、ドラギ総裁はハト派的な発言だったにも関わらずユーロが買われるといった為替市場の反応には、やや深読みしすぎで違和感を覚える。

同シンポジウムのみならず、ここのところの当局者の発言や議事録への市場の反応を見る限り、市場参加者は、(1)米国経済はさほど強くなくインフレは低迷したままで、米国の年内利上げは困難、(2)ユーロ圏経済は堅調で、ECBは量的緩和縮小に動いたうえで、早期に利上げを開始する、との見方に大きく傾いているようだ。

投機筋は依然ユーロを大きく買い越し

実際、シカゴIMMで投機筋のユーロポジションは依然大きく買い越し(8.6万枚)。先物市場の米国債ポジションも買い越し額は高水準のままだ。金利差でみれば、米10年債利回りは、低いとはいえ2%、独10年債利回りは0.3%で、本来であればドルの方にマネーが集まりやすい環境だ。果たして、ユーロはこのまま対ドルで上昇し続けるのだろうか。

過去にも、こうした金利差では説明できないユーロ高があった。2013~14年にかけてのユーロドル上昇局面だ。2013年5月22日、バーナンキFRB(当時)議長が、「状況改善の継続を確認し、持続可能と確信できれば、今後数回の会合で資産買い入れを縮小することは可能だ」と述べ、米金利が急騰。一方、独市場金利の上昇は小幅にとどまったため、米独金利差は拡大したが、為替はユーロ高・ドル安となった。

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