9月24日のドイツの連邦議会選挙(下院)まで1週間を切った。
アンゲラ・メルケル首相の4選が確実視されるためか、市場ではフランス大統領選挙前のような緊張の高まりはない。しかし、ここまでの道のりは平坦ではなかった。2015年夏には難民危機対応への批判から支持率が低下。2017年初には現在の連立政権のパートナーでもある中道左派の第2党・ドイツ社会民主党(SPD)の党首交代により支持率が接近する場面もあった。
だが、5月半ば頃からメルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)の支持率は、マルティン・シュルツ党首率いるSPDに対して、10ポイント以上のリードを保つ。財政の健全化、構造的失業の解消、実質所得の向上という3期12年の実績がメルケル首相の強さを支える。
反EUで右派・ポピュリスト政党のAfDも議席獲得へ
もはや逆転は期待しにくいことから、すでに関心は連立の組み合わせへと移っている。ドイツの戦後の政権はすべて連立政権であり、今回もCDUが単独で過半数を獲得することはない。世論調査に基づけば、2党での過半数超えが可能な組み合わせは、1期目、3期目に続くSPDとの「大連立」だけだ。2期目と同じ自由民主党(FDP)との組み合わせでは過半数に届かず、環境政党である「緑の党」を加えた3党での連立が必要になる。
2党連立の余地を狭めているのは、右派のポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」だ。AfDはユーロ反対派の経済学者らにより2013年の前回総選挙前に創設された。その後、右傾化を強め、2015年夏にはメルケル首相の難民政策を批判して、支持を広げた。ドイツの下院選挙は「小選挙区比例代表併用制」で行われる。小政党の乱立を防ぐ「阻止条項」があり、連邦議会で議席を得るには比例代表票で5%以上、ないし、小選挙区で3議席以上獲得する必要がある。
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