たかが1時間程度のお見合いで、そこに恋愛感情が入っていなかったとしても、「お断り」をされるというのは自分を否定されることだ。それで傷つかない人間はいない。「まあ、この人でもいいか」と思っていた相手から断られると、なおさらプライドが傷つく。「上から目線」に見えるかもしれないが、婚活で疲弊し切った人にとって、相手の立場で思いやる気持ちの余裕など、もう残っていない。
なお、婚活疲れを起こすのは、男性よりも圧倒的に女性のほうが多い気がする。女性の場合、子どもを持つことを視野に入れて婚活を始める人が多く、 頭の中で“タイムリミット”が設けられるからだ。したがって、結婚相手に出会えないと、ただただ焦って、空回りをしていく。
"普通の人でいいから結婚したい”という難題
里美も、明らかに焦っていた。「これまでは、勉強をすれば成績が上がった。仕事にまじめに取り組めば、それが評価されて花形の部署に配属になった。それなのに、婚活は頑張れば頑張るほど出口の見えないトンネルの中に迷い込んでいくんです。もちろん、頭ではわかっているんですよ。年を取れば取るほど、すてきな男性はもう残っていないし、年々少なくなっていくって。だから高望みしているわけじゃない。普通でいいんですよ、普通で! でも、その普通が見つからない」。
婚活疲れを起こしているアラフォー女性は、みんな里美と同じ気持ちではないだろうか。「高望みはしていない、普通でいい」という。ただ、ここには大きな落とし穴がある。 “見た目”も普通、“年齢”も『普通』、“年収”も『普通』、いわゆる平均値(普通)を求めていたら、その男性は『普通』×3。すべての『普通』がそろっていたら、かなりレベルの高い人になっているのだ。
婚活に疲弊し切っている里美だが、歩みを止めることはしたくないという。そこで1対1のお見合いではなく、1対多数の婚活パーティでの出会いを勧めた。パーティといっても、仲人が自宅を開放して行うホームパーティの要素が強いもの。最後にマッチング結果を発表するのではなく、もう一度会いたい相手を紙に書いて、後から仲人を通じてマッチングしたかどうかを会員に伝える形式にした。
最後にマッチング結果を発表するパーティだと、自分がいいと思った相手が、他の人とマッチングしてしまうと、それだけでテンションが下がってしまうからだ。
里美が参加したのは、私が親しくしている友人の仲人宅で行われたホームパーティ。その結果、身長178センチメートル、やせ型で、俳優の阿部寛似の41歳の男性とマッチッングすることができた。年収も600万円あり、条件としては申し分ない。そのパーティの中でも、際立ってすてきな男性だった。
婚活パーティの場合、マッチングすると後日改めてお見合いをすることになる。私は、お見合いを終えた里美にヒアリングをした。すると、お見合いの席でした里美の会話が、お見合いNGワードを連発していたことがわかり、思わず仰天してしまった。
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