「1を2にする」とは、「1人のお客を2回、お客になっていただくこと」、あるいは「1カ所を1日2回、別々の会社が使用すること」です。
これは「コラボ経営」というもので、たとえばコンビニのファミリーマートとカラオケの第一興商がコラボして併設店舗を経営している例があります。カラオケでの食べ物や飲み物をコンビニで買えば、カラオケの使用料金を割り引く。また、カラオケの部屋には、コンビニで買えるメニューを置いておく。カラオケの部屋から電話で連絡があれば、コンビニで用意して届けることができるわけです。
これは理髪店にも応用可能です。隣にコーヒーショップを経営し、理髪店内で客を待たせるのではなく、コーヒーショップで待ってもらう。コーヒー代は無料にして理髪店が負担する。理髪店内に待ち合い場所は不要になるため、それだけ理髪店の店内は広くできます。
あるいは、オフィスを借りる場合には昼間だけ使用する会社が、夜には別の会社にフロアを貸す、ということも考えられるでしょう。9時から18時まで使用し、夜8時から翌朝5時まで別の会社が使うといったことです。それが可能かどうかは別として、とにかくこのような「1を2にする経営」「コラボ経営」を柔軟に考えるべきでしょう。
現在の事業をどう変身させるか
もう一つが「変身経営」です。今の事業をどのように続けるかを考えるだけでなく、今の経営をどう変身させるか、そしてどう将来に焦点を合わせて発展的に事業を考えていくか、を考える必要があるわけです。
これは、もうすでにたくさんの企業が実行し、成果を上げています。たとえば、このところ、大いに宣伝されている寝具マットメーカーのエアウィーヴの例があります。もともと釣り糸メーカーであった会社を引き継いだ若い社長が、釣り糸では厳しいと判断。そこで考えた結果、釣り糸をそのまま丸めるようにまとめ、マット状に固めたそうです。
そして寝具マットにして売り出した。彼のマーケティングも巧みでしたが、あっという間に寝具マットのトップメーカーとなり、一流ホテル、一流旅館、あるいは、飛行機のファーストクラスなどに採用されるようになりました。余談になりますが、この会社の商品マークは、釣り糸をまとめたデザインになっています。
釣り糸という事業を、釣り糸のままでなんとかしようというのではなく、釣り糸を活用しながら、寝具マットに事業内容を変身させた社長さんのセンスには驚嘆しますが、まさに「変身経営」そのものです。
この「変身経営」は大企業でも可能です。たとえば、富士フイルム。一時は写真撮影用のフイルムや印画紙といえば、コダック、コニカ(さくら)、富士フイルムの3社で寡占されていましたが、デジタルカメラやスマートフォンの登場によって、コダックもコニカも独立した企業ではなくなりました。
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