進歩を止める人間に対峙してこそ、政府だ 若者よ、スマホで「ネット投票」なら参加する?

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「ネット投票」は不正投票の巣窟になる?

 先述したパネルディスカッションで、ボクがネット投票について細野議員に話すと、細野議員は自身のツイッターに、「ネット投票は本気で考える時期が来てると思います。Tehu君の話は説得力があった。」と投稿してくださいました。

 しかし、それに対するネットユーザーの返信は、「不正投票の巣窟になる」「民主主義に対する冒涜だ」「謝罪しろ」など罵詈雑言の嵐。 

ボクからすれば、この人たちはいったい何を考えているのか理解に苦しむ発言が多く見られました。あえて進歩を拒否するところが、もはや滑稽以外の何者でもありません。 

ネット投票の安全性については、「やればできる」という安心感がボクにはあります。2年前に国費でウェブセキュリティ技術の専門教育を受けたのですが、セキュリティはプロフェッショナルがやろうと思えば、ガチガチに固められるものです。世間で騒ぎになる様々な情報漏洩は、日常茶飯事で起こるわけではなく、悪意のある者に「狙われたら終わり」というものではありません。 

また、本人確認についてですが、そもそも現在の投票所での本人確認自体がずさんで、ほとんど意味をなしていないものですから、身分証の確認によって作られたデータベースを使用するネット投票のほうがよいと言えます。

AKB48選抜総選挙の身分証明は意外と厳しい 

ちなみに、AKB48の選抜総選挙では、記名されたチケットのほかに、写真付きの身分証明書1枚、もしくは写真のない身分証明書2枚が必要です。国政選挙の投票所よりもAKB48の選抜総選挙の開票会場のほうが、明らかにチェックが厳しいですよね。 

ネット投票はネット社会に適した選挙システムです。政府には、進歩を止めようとする人間に真っ向から対峙してほしいものです。 

さて、これまで3回にわたって、選挙に関する議論を続けてきました。政治に対して言いたいことはまだまだありますが、いったん終えて、次回からユルめの話題を取り上げることにしましょう。

それでは、来週もお楽しみに!

Tehu 慶応義塾大学1年生・デジタルクリエーター

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てふ / Tehu

1995年、神戸市生まれ。灘中学校、灘高校を経て現在、慶応義塾大学1年生。中学生の時にプログラミングに興味を持ち、2009年にiPhoneアプリ「健康計算機」を公開。ダウンロード数が無料アプリで世界第3位となり、話題となる。以後、「放射能計算機」、劇団ひとり監修の「僕の余生。」などのアプリ制作を続ける。2010年からUstreamで「Tehuのオールナイトニホン」を放送開始。米アップルの新製品記者発表を同時通訳する番組を定期的に放送し、人気を集める。2013年、グーグル日本法人元会長の村上憲郎氏との共著『スーパーIT高校生“Tehu”と考える 創造力のつくり方』(角川書店)を発売。現在、クリエーターとして多くの企業のプロジェクトに参加するほか、講演や雑誌連載など多岐にわたって活動している。中国籍で本名は張 惺(ちょう・さとる)。日本語、英語、中国語を操る。

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