「レンタル移籍」は雇用流動化の有効ツールだ

会社を「越境」した社員は何を得たのか

「これまでは企画書も完全オーダーメードで一つひとつ作っていたし、受注や納品についてマニュアルもなく、あらゆることが属人的だった。焦点的に攻めて落として、では限界がある。個人なら1日3個しかできなかったことが、どうやったら1000個できるようになるか。佐伯さんは、最初に空けた穴を次にどう通すかを明確にしてくれた」(下村氏)

大企業からベンチャーへ転職する人も増えており、「大企業経験者を採用すること自体に困るケースは減っている」(同)という。しかし、大企業を辞めて採用されたいと考える人と、大企業の組織につながりを持ちながら、自社で事業をゼロから一緒に加速させるつもりでいる人はまったく違う。レンタル移籍で入社した人材は「部下やチームメンバーを採用したという感覚ではなく、パートナーという意識」(同)なのだ。

大企業とのアライアンスを的確に

特に大きな期待があったのは、アライアンスをスムーズに進めるノウハウ。ベンチャーは生き残るためにも意思決定のスピードを最重要視するが、逆に拙速になるというデメリットもある。下村氏からすると、これまでは即決できない相手方にはいらだちを感じてしまっていたようだ。

「これまでも、大企業とアライアンスを組んでここまで大きくなってきた。しかし、相手の意思決定があいまいだと、僕からすると歯切れが悪く感じてしまって、『どうして今決められないんですか?』と無理に押してしまうことも少なくなかった。結果として引かれてしまい、話がなくなるということも……。佐伯さんなら、リレーションを保ちつつもしかるべきタイミングでズバッと進めることができる」(下村氏)

ベンチャーの側から大企業に話を通すためには、誰に話を当てるのか、どのような材料を用意すれば目の前の担当者が上に伝えやすいのかという情報は不可欠だ。そのプロセス形成、意思決定のタイミングについては、大きな組織に身を置かないと勘所がわからない。佐伯氏が断然得意とする領域だ。

「大企業は調整をしないと物事は進まない。基本的に組織構造はピラミッドで話を上に上にと通していかないといけないし、縦割りで壁があるから二重に苦しい。そうした場を経験しているからこそ、大企業の担当者と話をしていても、相手の気持ちがよくわかる」(佐伯氏)

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