深刻な「健康格差」をなくすことはできるのか 社会の不公平が健康の不公平をもたらす
スコットランドのグラスゴーの話。その市のなかの、たった数キロしか離れていないふたつの地区は、驚くべき対照を見せている。一方のレンジーは高級住宅街であるのに対して、他方のカルトンは指折りの貧困地区。ただし、両地区の違いはそれだけではない。1998年から2002年の数字で、レンジーの男性の平均寿命は82歳であったのに対して、カルトンのそれは54歳であった。その差はなんと28年である。
平均寿命に20年の開き
アメリカの話。ワシントンD.C.で地下鉄に乗って、中心街の南東部からメリーランド州のモンゴメリーへ向かうと、1マイル移動するごとに平均寿命が1年半ずつ延びるという。出発地点と到着地点では最終的に20年もの開きがあるという計算だ。
世界の話。子どもが日本や北欧の国で生まれれば、だいたい80歳まで生きられるだろうと期待できる。しかし、サハラ以南のアフリカの国で生まれれば、60歳まで生きることすら難しいかもしれない。
そのように世界の現状を見渡すと、国どうしの間でも、あるいはひとつの地域のなかでも、健康における格差がたしかに存在する。本書『健康格差 不平等な世界への挑戦』は、そうした健康格差の原因に目を向け、それを縮小させるための提言をなすものである。
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