凱旋門賞制覇へ!理と情熱のホースマン 新世代リーダー 池江 泰寿 JRA調教師
だが、冷静になってみると、ベストを尽くしたつもりではあったが、挑戦者として勝ちにいったつもりが、どこかで「守りに入った」部分もあった。
オルフェーヴルは、国内のレースでは斜行する癖を出しており、普通の馬よりもかなり乗りにくい部類に入る。だが、結局は本番のレースで、その悪い癖が出た。
「調教を少しだけでも変えていれば、勝てたのではないか」「事前にジョッキーと、馬の細かいクセまでもっと共有できていれば、本番では癖を出さずに済んだのでは…」などと、後悔は尽きなかった。
あの敗戦から、はや1年がたとうとしている。今年の10月6日に行われる凱旋門賞に、泰寿はオルフェーヴルで、もう一度挑戦する。昨年の敗戦を糧に、最大限の準備をしてきた。「いまのところ、昨年以上の状態で臨める」とひそかな手ごたえを持つ。
「凱旋門賞に優勝したら、馬車にのってスタンド前をパレードできる。その馬車に、自分の代わりに父をのせてあげたい。父が乗ったら、その馬車にはスペースがないので自分は乗ることはできない。でも、それでもいい。自分はいいから、その馬車に父をのせてあげるのが今の夢」。
もちろん、この夢を達成しても、続きがある。「いまはまだまだ満足できるところまではいっていない。厩舎の管理馬の層を厚くして、毎年凱旋門賞に出られるようにならないと」。
父の背中を見て調教師を志し、調教師になる前も、なったあとも常に自分に影響を与えてきた父。その父が果たせなかった夢を、今年こそは叶えたい。日本競馬界の悲願を、泰寿が達成してみせる――。
(撮影:ヒラオカスタジオ)
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