あの綾瀬が「ロケの名所」にのし上がった理由

伊豆急&河津にも学びたい「町おこし」のワザ

こうして綾瀬は、わずか2年半で80作ものロケ誘致に成功し、観光客を増やしました。このサクセスストーリーが成し遂げられた理由は、第一に「窓口を市役所で一本化した官民一体の受け入れ態勢を作った」こと。第二に「駅や観光スポットがなくても、日常風景の撮影に使える公共施設、住宅、商店、畑などがそろっている」こと。第三に「撮影スタッフと観光客へのホスピタリティがすばらしかった」こと。第四に「撮影時に写真を撮らない。むやみにサインを求めないなど、住民マナーがいい」ことが挙げられます。つまり、「撮影スタッフにとって最高の環境を作り上げていた」からに他なりません。

これまで市町村のロケ誘致は、「撮影のサポートをしたらそれで終わり」という焼畑農業のような形が大半を占めていました。その点、綾瀬のロケ誘致は、地元に観光資源を作り、継続的に商工業者が潤い、住民の活気を生み出す。意義深い町おこしと言えるのではないでしょうか。

“鉄道BIG4”のロケ誘致に成功

海岸線を走る列車として鉄道ファンにも人気(写真:伊豆急行提供)

もう1つ、みなさんに紹介しておきたいのが、「ローカル線発」の町おこし。ときどきローカル線の経営難や廃線などのニュースを目にするように、「いかにして観光客を増やすか」は、彼らの大きな課題となっています。

それは伊東、熱川、下田などの温泉地を抱える伊豆急にしても、他人事ではありません。伊豆急行線は、伊東~伊豆急下田間の45.7kmを結ぶ観光列車として1961年に開業しましたが、関東近郊の温泉地には熱海、修善寺、箱根、湯河原、鬼怒川、那須、伊香保、草津、蓼科などライバルが多く、乗客数アップは課題の一つとなっていました。

2012年8月、伊豆急グループは、鉄道、ホテル、ロープウェイなどのロケ活用を促進するために「伊豆急ロケーションサービス」を立ち上げました。もともと風光明媚で歴史情緒漂う東伊豆は、ドラマや映画のロケ地として活用されることがありましたが、「ロケに協力することで鉄道のイメージアップにつながれば」というスタンスにとどまっていました。それだけに撮影スタッフから連絡がなければ、「いつ放送されたのかすらわからない」ことも多かったそうです。

しかし、伊豆急ロケーションサービスの設立で、「積極的にロケを誘致して、乗客数アップにつなげよう」という前向きなスタンスにシフトチェンジ。メンバーは前述した地域活性のプロ集団『地域活性プランニング』に相談して、各施設のロケ受け入れ窓口を一本化したほか、要望を受け入れるヒアリングシートや利用規則を整備するなど、受け入れ態勢を整えていきました。

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