あの綾瀬が「ロケの名所」にのし上がった理由 伊豆急&河津にも学びたい「町おこし」のワザ

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2016年1月に作られたロケ地MAPには、噂を聞きつけた遠方のファンからも問い合わせが殺到する人気ぶり。アッという間に1万部が配布終了になったそうです。ちなみに、「イケメンのいる町」ではなく、あくまで「イケメンが集まる町」とのこと。自虐ネタとして笑いを誘えるところも含めて、このコンセプトは綾瀬の人々に受け入れられました。

厚木基地の米海軍もロケに協力

ブタロケ隊が3年かけて開発。現在は8店舗で販売される地元名物になった(写真:神奈川県綾瀬市提供)

見逃せないのは、住民組織・ブタロケ隊の“食”分野における活躍。彼らはロケ弁の手配や炊き出しを行うだけでなく、新名物・あやせとんすきメンチを開発して撮影現場に差し入れをしていたのです。地元特産の高座豚と郷土料理・豚すきを生かした新名物は、ロケ地めぐりの観光客にも好評で、2016年4月の発売から約4カ月で1万個を販売するヒット商品になりました。

2017年2月には、綾瀬のロケ地観光がさらに前進。『コウノドリ』、『グ・ラ・メ!』(テレビ朝日系)、『エイトレンジャー2』などのロケで使用された場所をガイドつきでめぐる「ロケ地ツアー in綾瀬市役所」が開催されました。参加費は、俳優やスタッフが食べたロケ弁とあやせとんすきメンチ付きで1000円。ロケの裏話などを聞いたり、『コウノドリ』で綾野剛さんと小栗旬さんが座ったベンチで写真を撮ったり、ファンにはたまらないツアーになりました。

綾瀬のロケ地は増える一方であり、ツアーの第2弾も企画されているという(写真:神奈川県綾瀬市提供)

全国を見渡せばロケ誘致に前向きな市町村は多いものの、綾瀬の団結力は一歩先を行っています。たとえば、GLAYのミュージックビデオ『HEROES』の撮影は、地元の工場、オフィス、個人宅などがロケ地として使用され、「オール綾瀬ロケ」で行われました。

約300人もの市民エキストラが登録されていることも含め、官民一体となって受け入れ態勢を整えているため、撮影スタッフのあらゆる要望に応えられるのです。なかでも特筆すべきは、厚木基地の存在。「すでに米海軍がエキストラとして撮影協力している」そうですから驚かされます。

次ページ2年半で80作ものロケ誘致に成功し観光客も増加した
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