現在、カンタスが運航している最長距離フライトは、シドニーと米南部ダラスフォートワース間を結ぶ便で、1万3975キロメートルを超大型機エアバスA380が15時間30分かけて飛ぶ。
しかし、経済的にはあまり効率のいい路線ではないという。なぜなら、東方向へ向かうダラス行きは追い風で飛べるが、シドニー行きはつねに逆風となることから定員より100人減らさないと機材の性能上の制約で1万4000キロメートル近い距離を飛び切ることができないからだ。
英国とオーストラリアの2国間の往来需要は多い
オーストラリアが英連邦の一員ということもあり、経済的、政治的なつながりだけでなく、英国とオーストラリアに分かれて暮らす家族は意外と多く、2国間の往来需要はとても盛んだ。大きな需要があるにもかかわらず、これまで直行できる機材が存在しなかったため、どこかで必ず乗り継ぎしなければならない。そんな事情もあり、ルート途上にある各航空会社は、英豪間だけでなくニュージーランドとをつなぐ旅客需要も取り込むべく激しい競争が起きている。
たとえば、シンガポール航空やマレーシア航空、タイ航空が軒並みロンドン線にA380を飛ばしているのは、欧州―アジア間の旅客獲得だけでなく、オセアニア方面への乗り継ぎ客の取り込みも狙っている。また、中国や中東の各社が参戦、ANAも英国で日本経由シドニー往復のチケットを販売している。
カンタスはかつて、シンガポールを英豪線の中継ハブとしていたが、2013年4月にアラブ首長国連邦(UAE)へと移転。それに併せドバイ拠点のエミレーツ航空と広範な共同運航(コードシェア)を行い、ロンドンなど欧州へ乗り入れる自社便の運航を削減した。
カンタスにとって、オーストラリアから英国への直行便は何が何でも実現したい悲願だ。筆者が「飛行17時間!『夢の英豪直行便』就航の秘密」で紹介したように、来年春には西オーストラリア州のパースとロンドンを結ぶ便が飛び始めるとはいえ、シドニーやメルボルンといったオーストラリアの大都市から行くにはやはり乗り継ぎが伴う。
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