東京から遠距離にある、 シドニー―ロンドン間の距離(約1万7000キロメートル)に当てはまる都市という基準で探すと、「地球の裏側の南米大陸のどこか」ということになる。
そう考えると、日本―ブラジル間に日系ブラジル人の里帰り客や南米への観光客需要を念頭に、無着陸直行便を週に何便か飛ばすプランができなくもない。ただ、新規機材を導入してまで飛ばすほどの必要性があるかどうかは疑問だ。
一方で、東南アジアの大手各社が超長距離機材をそろえ始めると日系航空会社には脅威となりうる。現在、ASEAN諸国と米大陸間の旅客需要は急激に伸びており、ANAとJALは共に東南アジアからの乗り継ぎ客取り込みに躍起になっている。ところが超長距離機が普及するにつれ、これら乗り継ぎ客が日本を飛び越えて直接米大陸に向かうことが予想できる。今のうちに、東南アジアの人々に日本を「乗り継ぎのついでに立ち寄る魅力のある国」と訴えておく必要があるのかもしれない。
採算面の見通しは厳しい
カンタスにとって悲願の英国行き超長距離直行便はマーケットにどう受け入れられるのだろうか。
英国の航空アナリスト、ジョン・ストリックランド氏は、長距離便は運航経費が高いことから「かなりのプレミアムを乗せないとペイしないのではないか」としたうえで、「各社が入り乱れる英豪線はすでに激戦。生き延びるのは簡単ではなさそうだ」と厳しい見通しを示している。
超長距離フライトは、航空機メーカーが軽量素材や効率のいいエンジンなどを導入し、さらなる研究を進めたうえでようやく実現が可能となる。5年後の航空旅客マーケットははたしてどのような姿になっているのだろうか。
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