日本株、北朝鮮で「9月相場」は波乱となるのか 相場は「想定」よりも往々にして逆に行く
なぜかといえば、このPERの縛りがあるからだ。最近まで「日経平均のトレーディングゾーン」はPER14倍から16倍といわれていた。1416円80銭のEPSを基準にすると1万9835円―2万2668円のゾーンということになる。
米国のドナルド・トランプ大統領の存在がいまや市場リスクになり、安倍晋三首相の支持率低下などで環境が変わったとして、PERのトレーディングゾーンを13倍から15倍に落としても、日経平均のトレーディングゾーンは1万8418円―2万1252円に変わるだけだ。1万9300円の200日攻防線を破られても1000円も下げないなら、これからの下げはその都度買えばいいだけということもなる。ましてや別世界の強気市場を形成している中小型株においては、下げたところは買いのチャンスということなる。
相場は「想定」と逆の方向に出ることも多い
注目の米ワイオミング州ジャクソンホールでの金融シンポジウム(24~26日)において、ジャネット・イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演には、今後の金融政策の話は出なかった。続くマリオ・ドラギECB(欧州中央銀行)総裁も同様だったが、こちらはもともと金融政策に関する新たなメッセージを発することはないと見られていた。それでも、確定的ではないものへの不透明感から、ジャクソンホールが先週の市場を束縛していた。これでアク抜け感が出て、今週以降の市場にはポジティブに作用するだろう。また、北朝鮮リスクも、3発ミサイルを発射したことで、しばらくは鎮静化しよう。
9月相場の動向を決めるといわれる外国人投資家の8月の動向は、第3週まで連続売り越しで、2015年、2016年と同様の売り越し基調になるもようだ。この2年間と同様の動きを想定すると、外国人の9月の売買動向は8月以上の売り越しになるかもしれない。しかし、9月に外国人が大量買い越しすると考える投資家は極めて少ないとなれば、現在の相場にかなり織り込まれていると考えるべきだ。そして、「相場は、多くの投資家が想定する方向と逆の結果が出ることも多い」ことを、頭の隅に入れておくべきだろう。
とにかく、全体相場とは別世界の個別株物色相場の流れは今後も続きそうだ。特にテーマ性のある銘柄には人気が継続する。その1つがEV(電気自動車)関連だ。自動車の環境規制強化のスピードは予想以上で、今後、EVの需要拡大も加速度がついてきている。市場にはその関連銘柄のリストが出回って、すでに人気化しているが、その中に筆者から見れば以外にも入っていないのが、たとえば西華産業だ。
先般、同社は事業領域の多様化と規模拡大の「10年長期ビジョン」を出したが、その中心になるのが、前期順調に納品された中国へのリチウムイオン電池のセパレーターフィルム製造装置だ。今後、正極負極製造装置、部材・素材領域までビジネス範囲は大きく広がることが期待され、この電池事業が現在の主力である発電プラント事業に対する一方の柱になる可能性を秘めている。電気自動車関連の意外な人気株になるかもしれないと筆者はひそかに思っている。
今週の日経平均予想レンジは1万9000円―1万9700円とする。
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