コンピュータの格段進化は突然やってこない 社会が変わるかどうかは結局人間次第だ

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――もう少しかみ砕いて言うと?

たとえば、僕はもともと建築が専攻だったのですが、建築のパース図って全部鳥瞰(ちょうかん)で描きます。でも実際に鳥瞰でその建物を見る人は、ほとんどいない。歌舞伎座(東京・東銀座)がリニューアルされて、今は劇場の背後に大きなビルがくっついているのですが、それすらも劇場のすぐ前に立って見るかぎりでは意外と気づきません。

経済学はあまり詳しくありませんが、金融危機のような経済的な大変動を引き起こすのだって人の感情でしょう。すべからくこんなふうであるのに、人は鳥瞰的に、マクロに物事をとらえすぎなんじゃないでしょうか。AIのような先端のテックも、確かに一面では人の仕事を奪うけれど、それと同時に人間は新しい仕事を生み出します。僕らの仕事がわかりやすい例です。20年前だったら成立しなかったですよ。

AIのような最新テックも、一面では人の仕事を奪うけれど、それと同時に人間は新しい仕事を生み出します(撮影:今井康一)

カギを握っているのは、人間自身だ

――コンピュータの性能、通信、センサーといったあらゆる要素が進歩したから、複雑な表現ができるようになった。

そうです。テックをめぐって産業や社会に起こるさまざまな隆起や侵食に似た現象は、すべて人ベースで起こるんだと思いますね。シンギュラリティは、コンピュータの中では起こる。でもそれが社会的なインパクトとなるかどうか、そのカギは人間自身が握っている。

僕らはいろんな企業と一緒に仕事をすることがとても多いのですが、あるとき某メーカーの人とこんな会話をしました。現代は量子論の時代で、すべてが小さく分かれる。企業も1匹の巨大な魚であろうとするより、個々の社員が職能や好みを活かして連なるスイミーのような集団となるほうがいい……という僕の考えをその会社の人に話したんですね。

――小さい組織がいい?

僕が知っている元気な大手企業は、みんなそう変わっています。個々の社員に信頼を寄せて、小さなグループごとに決済権を与えると、企業組織って一発で元気になります。逆にそう変わらないと、企業は早晩沈んじゃう時代だと思います。

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