期せぬ死後のスマホ、考えたことありますか ネット上の情報を放置していたらリスクも
そうしたページはこれまで放置されるのが当たり前でした。サービス提供側は膨大な数のユーザーを抱えているので、個別にページの動静をチェックするとなると相当なコストがかかります。そのコストに見合うメリットがないというのが主な理由でしょう。放置ページをそのままにしておく維持費やリスクはチェックコストよりもはるかに下ですから。
ネット与信とプロファイリング規制の動き
しかし、近年の動向をみると放置リスクは上昇傾向にあります。大きな要因のひとつはAIです。
近年は、SNSの投稿やつながっている人間関係、ネットでの購入履歴やアクセスしている時間帯や総時間量などをAIが分析し、その人の傾向や信頼性などを図る「ネット与信」サービスを提供する企業が世界でみられます。
たとえば、ドイツのベンチャー企業はSNSやネットショップの情報など2万超の項目から特定の人物を与信するサービスを2012年から提供しています。対象の人物が遠い過去に使っていたサービスやページも、AIによってメールアドレスやハンドルネーム、発言や発信している内容の整合性にリンクのつながりなどから掘り起こし、与信の材料になります。
一方で、そうしたAIを使った総量的な解析(プロファイリング)は個人のプライバシーを丸裸にするおそれがあるということで、「プロファイリング規制」の動きも同時に活発化しています。欧州でも積極的に論議が重ねられていますが、先鞭を付けたのは米国で、関連する連邦議会の議事録は2000年ごろまでたどれます。2012年にはプロファイリング行為によるネット与信サービスを提供していた国内企業に対し、米国連邦取引委員会(FTC)が制裁金を科したりもしました。
ネット与信やプロファイリングの是非はおいて、ひとまず言えることは、放置サイトに現在進行形の価値が生まれているということです。現在進行形の価値があると、外部からの働きかけが生じるので、ただただ放置しているというわけにはいかなくなります。
提供元が現在払っているサーバー代だけではなく、放置サイトの保護にもコストをかけなければならなくなるとしたらどうでしょう。
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