中学「集団LINEいじめ」に奮起した父の実話 男女24人の陰湿なやり口、学校の対応は…
SNSという閉ざされた世界でいじめにあっていた娘を、LINEを逆手にとって救った両親がいる。
佐伯学(仮名・46)と理恵(仮名・36)の闘いは、SNSアプリの中で野放しになっている子どもと、どう向き合えばいいのかを教えてくれる貴重なケースだ。
闘いの導火線に火がついたのは夫妻の長女、茉奈(仮名・15)の卒業文集だった。クラスの寄せ書きに、茉奈だけが載っていない。
茉奈へのいじめが始まったのは、中2の終わりごろ。きっかけは茉奈の中学に他校の男子が乗り込んできた際、茉奈が知り合いだったため、仲裁に入り帰らせたことだった。それが「他校の不良生徒を呼び込んだ」と、学校中から白い目で見られるようになった。
以降、茉奈は"透明人間"になった。無視は人間としての尊厳が踏みにじられる、耐え難い暴力だ。佐伯夫妻は毎週水曜に限り、学校を休ませることにした。家という逃げ場を週の真ん中に作ることで、茉奈を守ろうとしたのだ。
「事件」が起きたのは、中3の2月。体育の授業を終えて、教室に戻った茉奈が見たものは……。
土足で踏みつけられた制服、机には油性ペンで《死ね。学校、来るな》の文字、ノートの全ページに《死ね、ブス、バカ》の落書き。帰りに下駄箱に行くと、靴に濡れた泥が詰められていた。
理恵は担任に、きちんと対応するように迫った。すぐ学年集会が開かれた。
「佐伯茉奈さんの机やノートに落書きをした人は誰ですか? 手を挙げなさい!」
学校からの報告は「犯人は、わかりませんでした」。
娘の友達を味方につけた証拠集め
放置され続けたいじめが、卒業文集から茉奈だけを省くという、卑劣な行為にエスカレートした。夫妻は茉奈に言った。
「学校と闘うよ。これは許しちゃだめだから」
茉奈は頷いた。翌朝、理恵は担任に電話をした。
「卒業文集の寄せ書きに、茉奈が入っていません。きちんと調査をしてください」