消費税率引き上げ延期=国債暴落は本当か 海外投資家が売るから、消費税率を上げよという議論は誤り

✎ 1〜 ✎ 26 ✎ 27 ✎ 28 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ちなみに、投資家と言ったときには、その金融商品をある程度の期間保有して、配当や利子などのインカムゲインあるいはキャピタルゲインを狙うような経済主体のことを指し、トレーダーとは、短期の値動きを利用して利益を上げることを狙う経済主体のことを指す。学問的にも、一般的にも、トレーダーという言葉は、ある意味蔑称であり、合理的でない投資家のことをノイズトレーダーと呼んでいる。

投資家の行動を規定する要因は、いくつもある

では、investor sentiment(私は投資家機運と訳したが、投資家心理と訳されることも多い。しかし、センチメントとは、個々の投資家の気分やノリが、市場に広がって雰囲気を作り出す、という意味に近いので、心理とは少し違う気がする)とは、合理的なのか非合理的なのか、と言われると苦しくなっているが、合理的であるはずの投資家まで、実際の売買においては、気分や市場の雰囲気に左右されてしまい、全体として非合理的な行動を取ってしまう、というニュアンスだ。

合理的、という言葉もあいまいに使われることが多いが、何が合理的かは考え方によって違うから注意しないといけない。伝統的なファイナンス理論においては、ファンダメンタルズ以外の要因で投資(invest)あるいは売買(trade)すると、非合理的ということになり、この定義が広く使われており、私は行動ファイナンス理論アプローチをとっているので、ファンダメンタルズは投資に関係ないという考え方に基づけば、すべての投資行動が非合理的になってしまうので、違和感があるが、言葉としては、非合理的というのは、わけがわからない、理屈が立たない、ということではなく、ファンダメンタルズ以外の理屈で投資している投資家が非合理的投資家である、という言葉の使い方が無難だろう。

長々と議論してきたのは、このように、市場での投資家の投資行動あるいは売買取引を規定する要因はファンダメンタルズを筆頭に複数あり、最後は、投資家の意思決定だから、それは気分あるいは市場の雰囲気(日本語的な意味でのムード)によって左右されるという事実、そして、それは私だけの意見でなく、学問的に共有されている見方だということを伝えたかったのだ。

次ページ日本国債の空売りがあった場合、「今回は違う」のか?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事