日本のスタジアムやアリーナはしょぼすぎる 最高のアーティストが呼べない後進国・日本
木下:本当なら、使う側の人たちの「これだけの人が来る」とか、「こういう人たちが来てこういうやりかたをしたいから建物はこうでなきゃ」という意見に基づいて計画を練るべきなのに、それがないんですね。
松浦:最初から目的をもって仕様を決めていけばいいだけの話なんだけどね。
――最後は、大阪・吹田サッカースタジアムを紹介します。同スタジアムは寄付で造られた日本初の大型スタジアムです。まず、スタジアム建設のための募金団体を設立し、寄付金の募集を行い、スタジアムの仕様決定・建設については、民間で行いました。そして竣工日に建物を吹田市に寄贈する形にして、指定管理は株式会社ガンバ大阪が行っています。
2015年にオープンし、そこから47年間、指定管理料はゼロ円と決まっており、スタジアムの収益によって運営されていきます。このスタジアムは万博記念公園の中にありますが、その賃借料を含めて株式会社ガンバ大阪は年間約5億円を納めています。土地は吹田市が大阪府から事業用として定期借地権をもとに借りており、建物は吹田市が所有しているため、固定資産税を支払う必要のないスキームとなっています。
日本に「世界最高の音楽専用アリーナ」を造れ
野尻:このスキームはサッカーの事例ですが、行政と組んだらこのような形で音楽専用アリーナとかもできませんか?
松浦:音楽専用なら、PA(パブリックアドレス、ライヴに必要なマイク、スピーカー、アンプなど)とか照明とかLEDビジョンが常設されていたほうがいいわけです。
そういうスタジアムやアリーナが日本に一つもない。だからコンサートやイベントをやるたびに、トレーラーが何十台も日本中を走ることになる。専用アリーナがあれば、それがいらなくなるんです。
木下:サッカー専用のスタジアムを行政が造るのは、非常にハードルが高いんですね。総合運動競技場のように、どうしても何にでも使えるようなものにしてしまう。
それに対してガンバ大阪のファンや協賛企業が、「絶対にサッカー専用でやりたい」と主張して、役所に何も言われないための最後の手段として、自分たちでおカネを集めてしまった。役所がカネを出して造るとロクでもないものができるので、民間がカネを出して造ったわけです。
ただ役所が最後にできるのが、その資産を引き受けて、「固定資産税を払わなくていいですよ」という施設にしてあげることです。それが実現したパターンと言えます。これはたまたまサッカースタジアムの例ですが、このスキームで松浦さんがおっしゃるような音楽用の専用施設を造るというプランを打ち上げれば、ものすごい寄付金が集まると思います。
野尻:吹田のガンバ大阪のサッカースタジアムでは、おカネはいくら集まったの?
木下:140億円です。たとえばドーム球場を1つ造るのには500億~700億円かかるともいわれていますが、われわれでそれくらいの額を集めて、日本に最高の音楽用の専門施設を造りませんか。
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