日本のスタジアムやアリーナはしょぼすぎる 最高のアーティストが呼べない後進国・日本

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木下氏「民間なら『収支をちゃんと黒字にもっていくか』という視点が入る。だが行政にはリターンは関係ない」

木下:日本では、「スポーツ用の施設を造る」と決めたら、本当に「スポーツ施設だけ」造るんです。しかも、周囲から事業性を排除してしまっているので、スタジアムやアリーナでスポーツ観戦をして盛り上がったお客さんが、帰りがけに一杯飲んでいく店が一つもないような場所が山ほどある。

野尻:複合性を理解しないまま造っちゃうと、多目的性が薄れて、結局収益力も悪くなってしまいますね。

木下:役人の仕事は「こういうものを造れ」という指令を実行することですからね。民間なら「どう稼いで、収支をちゃんと黒字にもっていくか」という視点が入るから、「これも必要、あれも必要だ、これもやらなきゃ」という発想になるけれど、行政にリターンは関係ない。「これを造れ」と言われた指示を実行するだけなんです。

「造る側」「運営側」がバラバラ、だから使い物にならない

野尻氏「複合性を理解しないまま造っちゃうと、多目的性が薄れて、結局収益力も悪くなってしまう」

鎌田:われわれは、子どもを対象としたダンススクールなども展開しているのですが、行政が持っている教育施設を利用させてもらうことも多々あります。でも、最初からダンススクール向けに造られていないので、会議室とかでやるんです。だからスピーカーを設置したり、ダンス用のフローリングにしたり、さらには地域住民への「騒音対策」など、すべて後から考える、というパターンが結構多いですね。

野尻:ダンスが義務教育で必修科目になっているというのに、新築する公共施設には、その思考はないわけですね。

木下:行政では、施設を造る人と運営する人がバラバラなんです。本来なら施設を造る際に運営する人の意見を聞かなければならないのに、造る人は造るだけ。だから出来上がったものが使う人から見たら全然使い物にならない、というケースがよくあります。

鎌田氏「行政が持っている教育施設などを利用させてもらう場合、専用施設ではないので、後付けでいろいろなことをしなければならないことが多い」

――では続いて、米国の娯楽産業大手・アンシュッツ・エンターテインメント・グループ(AEG)がイギリス・ロンドンで運用している「O2アリーナ」を見てみましょう。ここではボン・ジョビやレッド・ツェッペリンといった世界的アーティストのツアーが開催されていますが、もとは2000年に展覧会を主な目的として建設された施設です。

しかし収益率が悪化したためAEGが改修を行い、2007年に再オープンしました。AEGが運営だけでなく、エンターテインメント、スポーツ興行の宣伝や販促までを行うことでO2アリーナは一気に世界レベルの「もうかる施設」へと再生したのです。

松浦:日本にはいろいろな施設ができているんだけど、たとえば「音楽専用アリーナ」は一つもないし、音楽イベントができる施設も全然足りていなんです。だから大物アーティストがライヴをやろうとしても、東京どころか、関東中を探しても会場がない。だから東京近郊では3公演しか開けないのに、意外にも名古屋では5公演あったりするんです。

馬場氏「海外のアリーナやスタジアムの再生が成功しているのは使う側の理論で再構築されているから。日本では利用する側の発想が盛り込まれない」

木下:役所が造ると、どうしても「あらゆる人が使える施設」にしちゃうんです。だから目的が散漫になってしまって、何をやるにも中途半端になってしまっているんですね。

松浦:最初から何でも使えるように造っちゃうと、絶対に専門性がない施設になっちゃうんですよ。逆に、たとえばサッカー専用に造ったスタジアムでも、使う側が工夫して音楽イベントに使用したりすることはできるんですから。

馬場:海外の例を見てもわかるのは、結局、アリーナやスタジアムを再生しているのは、使う側ですよね。完全に使う側の理論で再構築されているから成功している。日本では計画の段階で設計会社やゼネコンから入ってきちゃうから、利用する側の発想が盛り込まれないプランになってしまう。

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