(第16回)今、求められる採用ブランディングとは何か(後編)

W・A: 今のお話の延長線上の話になるかと思うのですが、採用担当者というと、2~3年でローテーションする場合がほとんどだったと思います。しかし、現状これからを考えるときに採用担当者はプロフェッショナル・リクルーターであるべきではないでしょうか。リクルーターというと、ゼミや研究室の後輩に自社をアピールしたり、OB・OG訪問を受ける人をリクルーターと呼んだりしていますが、もうちょっと進んで、真の意味で優秀な人を惹きつけて採用まで漕ぎ着けられるような人をリクルーターと定義したときに、人材を発掘できるかどうか。これはリクナビをうまく使って集客プランを練れますという意味ではありません。例えば、自分がベンチャー企業の経営者になったとして、優秀な人材を採用しなくてはならないといった時に、自分が何をできるのかという視点で人材を発掘できる方法論を発案できるとか、優秀な人材と会ったときにどう見極めることができるか、更に優秀な人材だと見極めたときにどうクロージングまで持っていくことが出来るか、これらを兼ね備えたのが本来のリクルーターではないかなと思います。言葉で言うと簡単ですが、一朝一夕に兼ね備えることができる能力ではありません。しかし、これからの厳しい採用戦線を戦っていくには、何かしら「エッヂが効いた」スキルがリクルーターや採用担当者には求められるのではないかと思います。

採プロ: シリコンバレーなどではプロフェッショナル・リクルーターというのは一番時給の高い、本当のプロの中のプロだといわれています。企業が成長するときのエンジンになれる人材を獲得できる能力は最も高く評価されているわけで、今のお話と非常にマッチするのかなと思います。

旭化成: 私共の会社でも数年前までは採用はそんなに大きな経営課題ではなかったように思います。しかし現在では、経営計画を実行していく人材が非常に大きな経営課題として捉えられています。だからこそ、採用数を達成するということだけではなくて、会社の向かおうとしている方向に必要な人材を十分に採用担当が把握して、そういう人材となる学生さんがどこにいるのかということをいち早く見つけて、そこにどれだけ効果的なアプローチを仕掛けられるかというマーケティング的な発想が大事になってきたと感じています。また、採用数が増えても採用担当の数はなかなか増えないのが各社の現状だと思います。組織を動かしたり会社全体を動かしたり、専任スタッフ以外のパワーを引き出して採用活動を推進する力も欠かせないと思います。

採プロ: 採用という仕事がますます経営とリンクする度合いが強まっています。採用ブランドが人材獲得競争力の指標であるとするならば、それを高める重要なファクターである社員・リクルーター、面接官といった社内のリソースをいかに動かせるか、また、動かせる仕組みを作り上げるか。組織上難しい問題があるとしても、やり切れる力量が問われるようになってきている、ということだと思います。

JCB: 私は微妙に考え方が違うのですが、採用担当者は特段優秀でなくてもいいのかなと思っています。語弊があるかもしれませんが、普通のメンバーが揃えばやれるのではないかと思います。むしろ重要なのは、どのようなチーム編成で組織だった採用活動を行うのかということではないでしょうか。もちろん、採用は経営問題そのものですので、いかに社員を動かすか、経営と近いところにポジショニングできるかが重要なポイントになるかと思いますので、そういう役ができる人間もチームには当然必要だとは思います。
 採用担当者にひとつだけ外せない要素があるとすれば、それは「人間性」だと思います。熱意を持って一生懸命取り組んでくれる方、会社のことを心底好きになり、それを情熱をもって学生さんに伝えられる方。そして、学生の立場や思いを理解し、親身になって語りかけてくれるメンバーでチームを編成して全員で乗り切るという考え方がいいのではないかなと思っています。

採プロ: 優秀でなくていいというのはご謙遜だと思いますが、それでも組織を動かすということの重要性や、その役目を担うメンバーが必ず入っていなければならないというのは重要なご指摘だと思います。また、採用担当者に欠かせない要素としてあげられた人間性は、すべての会社に共通することだと思います。
 様々なご意見をいいだきましたが、最後にひとつ申し上げれば、今後は横並びの採用手法だけでは、対費用効果は見込めそうにないということだと思います。そのためには、求める人材を惹きつける個性的な採用手法を考え、実行するという観点で戦略を練らなければならないのではないでしょうか。採用担当者はまさに大変な仕事だと思います。しかし、皆さんに頑張っていただくことが日本が元気になるということだと思います。本日は長時間、ありがとうございました。


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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。