「貯蓄型保険」には入らないほうが良い理由 「万一の時」は保障、貯金もでき一石二鳥?

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岩城:次に個人年金保険を見ていきましょう。個人年金保険とは、老後資金の準備を目的にした保険です。初めから年金総額が確定している確定年金保険や、運用の実績によって年金額や解約返戻金額が増減する変額年金保険などがあります。共に、万が一のときには死亡保険金を受け取ることもできます。

お2人が入った保険を見ていきましょう。まず雅之さんの保険ですが、10年確定年金で、65歳から74歳までの10年間、毎年60万円受け取れます。

雅之さんの個人年金保険④
年間保険料約21万3840円を65歳まで支払う
65歳時点107.9% 65歳時点までの平均利回り0.311%

岩城:里佐子さんの個人年金保険も10年確定年金で、65歳から74歳までの10年間、毎年57万円受け取れます。

里佐子さんの個人年金保険⑤
年間保険料約10万2528円を65歳まで支払う
65歳時点129.2% 65歳時点までの平均利回り0.687%

雅之さん:個人年金保険は、所得税控除があって得だと言われました。

岩城:確かに、所得税控除として毎年4万円、住民税控除として毎年2万8000円の個人年金保険料控除を受け取ることができます。

しかし、老後資金を貯めることが目的なら、個人型確定拠出年金制度(iDeCo)のほうが、税制優遇が大きいですよ。掛け金は全額所得控除になり節税できます。雅之さんの場合、掛け金の限度額いっぱいの年27万6000円を20年間積み立てていくと、積立総額は552万円です。所得税・住民税合わせて20%とすると(復興税は除く)、年に5万5200円の節税になります。20年分で110万4000円です。

また、仮に、4%で運用できたとすれば、運用期間中は非課税ですので、複利で増やすことができて、試算上は約822万円になります。先の節税分を加算すれば、約932万になりますね。里佐子さんは、60歳まで34年間もあるので、さらに大きくおカネを増やすことも可能でしょう。おカネを増やすには、おカネの置き場所が重要なのです。出口も税制優遇されていますし、はっきり申し上げて、使わないと損ですよ。

雅之さん:65歳まで保険料を払い続けて40万円しか増えない保険よりも、個人型確定拠出年金のほうがよさそうだ。保険は解約しましょうか。

保険をやめ、iDeCoやNISAで貯蓄をする

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岩城:今お持ちの保険は、「払い済み」にできるか聞いてみてください。もしできなければ、残念ですが解約し、今払っている保険料の95万円をまずしっかり貯蓄に回すことにしましょう。年間の必要貯蓄額は132万5000円ですので、まだ足りません。支出を抑え、月に43万円で生活するようにすれば、必要な貯蓄はできます。

では、年132万5000円をどう貯めればいいでしょうか。お2人それぞれ、ネット証券でiDeCoに加入して、限度額の27万6000円を拠出しましょう。2人で55万2000円ですから、132万5000円の残りの77万3000円は、ひとまず普通預金で貯めていきましょう。

年間の目標とその手段がわかったので、次の「目標数字」は、貯金額として285万円を貯めることです。これは「生活費」(手取り年収)の半分の額です。生活防衛資金として、手取り年収の半分程度の額が貯まれば、何かあったときに、取りあえずは対処できます。この額が達成できたら、それ以降、貯まったおカネは、NISAで運用したらよいでしょう。生命保険は、お子さまが生まれたときにまた考えましょう。

雅之さん:わかりました。支出を見直し、ちゃんと貯められる家計にします。

里佐子さん:iDeCoも早速手続きします。

岩城 みずほ ファイナンシャルプランナー・CFPⓇ

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いわき・みずほ / Mizuho Iwaki

特定非営利活動法人「みんなのお金のアドバイザー協会(FIWA)」副理事長。金融商品の販売によるコミッションを得ず、お客様の利益を最大限に、中立的な立場でのコンサルティングほか、講演、執筆を行っている。
慶応義塾大学卒。NHK松山放送局を経て、フリーアナウンサーとして14年間活動後、会社員を経てFPとして独立。著書に増補改訂版『人生にお金はいくら必要か』(山崎元氏と共著・東洋経済新報社)、『やってはいけない!老後の資産運用』(ビジネス社)、『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版社)、『結局、老後2000万円問題ってどうなったんですか?』(サンマーク出版)ほか多数。HP

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