マックが既存店をここまで浮上させた秘訣 2017年上期の業績は絶好調、どこまで続く?

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カサノバ社長は会見で「これからも戦略を実行し、完全な回復を目指していきたい」と話した。

ただ、”完全な回復”とは何を指すのか、重視する指標は何か、という記者の質問に「株主、FCオーナー、客、どの観点からものを見るかによって異なる。安定した持続的な成長のためには、店舗当たりの収益性を高めること、規模を拡大すること、どれも重要」と述べるにとどめた。

次のポイントは「規模」

2017年は上期として1店舗あたりの売上高が最も高かった。昨年までの不採算店閉鎖や継続的に実施する店舗改装が寄与したため。店舗改装は継続し、2017年末までに改装済み店舗が全店の83~84%となる予定だ。

カサノバ社長は会見で「今年後半には新しいデジタルやサービスの取り組み実験も開始する」と語った(撮影:風間仁一郎)

既存店の収益が改善する中で、次のポイントは「規模」に移りつつある。かつて4000店近くあったマクドナルドの店舗数は、度重なる不採算店閉鎖で約2900店まで減少した。

カサノバ社長が「店舗改装など既存店への投資と同様に新規出店の加速も考えていきたい」と話したように、持続的な成長のためには規模を拡大していくことも必要だ。

課題は物件の確保だ。2015年~2016年にかけては都心の一等地の店舗を中心に閉鎖した。今後、採算が見込める立地を確保できるか。

全店の約7割を占めるフランチャイズ(FC)店ではオーナー数の減少と高齢化(平均年齢59歳)といった課題も抱えている。対策として、2014年以降は抑制していた新規オーナー募集を2017年から再開した。FC社員の独立と合わせ、次世代オーナー育成を急いでいる。

今後は人手不足が重荷になる可能性もある。マクドナルドはこのまま持続的成長に向かうことができるか。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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