しかし、SDPの歴史は違った文脈から理解されるべきだ。1982年時点において、同党は世論調査で50%を超す支持率を得た。そこに起きたのがフォークランド戦争で、これが総選挙でサッチャー氏の保守党に圧勝をもたらした。
今は労働党にも保守党にも、選挙で大勝する望みはないように見える。6月の総選挙では、20ポイントもあった保守党のリードは一夜にして消えうせたかのようだった。有権者、特に若者が労働党に票を投じたからである。つまり、新党が支持を得るチャンスは大きい。
EU離脱は英国人の最大の関心事ではない
6月の総選挙については、もう1つ大事な教訓がある。EU離脱は英国人にとって最大の関心事ではないということだ。コービン氏の労働党はEU離脱について、メイ首相の保守党と同じ方針を掲げて選挙を戦った。だが雇用、医療、教育といった争点においては、両党のスタンスは対照的だった。
つまり、新たな政治ムーブメントが既存政党を打破するには、何にも増して公共サービスや経済の立て直し、政治的信頼の回復を御旗に掲げるべきなのだ。EUとの関係は、この目的を達成する手段に位置づけられるべきであり、それ自体を目的とすべきではない。
数カ月後には、政界再編の動きが現れる可能性はある。まず保守党がEU離脱をめぐる主導権争いと内部対立で疲弊するか。次にEU離脱問題をめぐって、50人を超す議員がコービン党首に反旗を翻した労働党内の混乱がエスカレートするかどうか──。これらが事の成り行きを左右する。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら