あなたが知らない児童労働の過酷すぎる現場 劣悪な環境に置かれる1億6800万人の子供

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:地域的にはどういう地域が多いんですか?

岩附:最も数が多いのはアジアですね。ただ割合が高いのがアフリカで。世界で見ると5歳から17歳の9人に1人が児童労働者なんですが、アフリカの場合は5人に1人と割合が高くなっています。

:そこに従事する子供たち個別個別に見るとどういうバックグラウンドでその労働に従事することになっているんですか。

岩附:その背景に何があるのかなんですけど、貧困の問題もちろんあります。親の収入だけでは食べていけない、あるいは親に仕事がないですとか病気になってしまったりとか。

もう一つは教育の機会自体はあるんだけれどもクオリティが低いとか、遠くていけないとか、あるいは特に女の子の場合は、「女の子だから学校に行かなくていい、何もしないなら働きなさい」という形で働いていたりとか、そういった家庭の事情もあります。

もう一つあるとすると、国の中の子供に対する優先順位がどれだけ高くあるかということですね。途上国の場合、予算が限られていて、どうしても全体に行き渡るような形でプログラムが展開されてないないという課題があります。そういう中でどうしても支援から漏れてしまう子供達がいるというのが現状じゃないでしょうか。

岩附さんが出会ったサディスクマル君の話

:実際に児童労働の現場、実態を代表を務めていらっしゃるACEでも色々な現場を見てこられたと思うんですけど、具体的にどのような状況なんですか?

岩附:私が活動を始めた初期に会った男の子の話を紹介します。私が一番初めに参加したグローバルマーチという世界的なマーチのインドで会ったサディスクマルくんという男の子です。元児童労働者で、救出されました。

岩附:「どんなお仕事してたの?」
サディスクマルくん:「糸を作る工場で働いてた」
岩附:「どんな風に働いてたの?」
サディスクマルくん:「6日間働いても5日分しかお給料がもらえなくて。何か失敗するとタバコの火を腕に押し付けられたり。ご飯を食べてても『もう食べるな』とお皿を投げられたり。」
岩附:「そんな辛い状況を親に相談しなかったの?」
サディスクマルくん:「相談しなかった」
岩附:「なんで?」
サディスクマルくん:「同じ場所で働いていた一人の子が、あまりにもその窮状に耐えかねて自分の親に言ったら、親が文句を言いに来た。親が文句を言いに来た次の日にその子がいなくなっちゃって。親が探しに来たけど見つからなくって。あの子は殺されちゃったんだと思う。そういうことがあったから、自分は親には相談しなかったんだ。」
岩附:「将来なりたいものは何?」
サディスクマルくん:「なるものになるよ、来るもの拒まず、だよ。」
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