あなたが知らない児童労働の過酷すぎる現場 劣悪な環境に置かれる1億6800万人の子供

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ただ、実際にプロジェクトをやっていると子供を雇わないようにしようという習慣が徐々に広まっていって、きちんと大人が正規の値段で働くようになるので、実は児童労働がなくなることは大人にとっても良いことで。子供が働いているのに大人が働けていないという現状もあるわけですよ。なので、子供が働くことで雇用口を奪われることなく賃金がちゃんと上がっていくという構造もあるかなと思います。

命にも関わる問題が潜んだ「危険な」児童労働

農薬の被害もひどい

:今聞いていて一つハッと思ったのは、よくニュースでも遺伝子組み換えの話はよく出てきます。特に自由貿易の話では必ず出てくるんですけど、ただ、遺伝子組み換えの作物を作る時ってそういう手作業で?

岩附:コットンの場合はそうなんです。遺伝子組み換えでなければその作業は入らないみたいなんですけど。普通に風に運ばれて花粉が運ばれて普通に受粉するんだと思うんですけど。遺伝子組み換えの場合は、雄しべと雌しべをくっつけるので、雄しべが出るように花の周りをとったり、そこに赤いセロファンをつけて目印をつけて一個ずつやっていくんですね。コットンの木ってそんなに高くないので、骨も折れるし腰も曲げないといけないので結構重労働で。日陰もなくて炎天下なので。もう一つは、農薬の被害も本当にひどくて。

:そうなんですか。

岩附:コットンってすごい農薬使うんですよ。口に入れるものじゃないので知らない方多いんですけど、世界の中で多分最も農薬を使う作物なんですね。そうすると、子供たちが摘んでいるすぐ横で農薬をスプレーしてたりするんです。私たちは農薬屋さんに行って実際にどうなるのかなと見た時に、「一応これ危険なので、手袋を配っています」と配ってはいるんですけど、暑くてそんなのしてられないという感じの防具なんですよね。そのために結局蒔く人も使っていなくて、そういう危険有害な農薬を日常茶飯事的に使っている。その中で子供たちも働いている。実際に農薬の被害で皮膚病になってしまったり、白血病みたいな血液のがんになってしまったり、そういう子たちもその地域には実際にいるんです。なので、健康被害も大きくて、水も汚染するし、農薬を間違って飲んでしまって亡くなってしまった子がいたりとかもあるんですね。ACEのプロジェクトで、そういう現状の中で何ができるんだろうと考えて、実は今オーガニックコットンの栽培を企業さんに入ってもらって奨励しています。オーガニックに転向した農家さんが一番言っているのは「健康になった」と言っているんです。自然な形で作る農薬を教えるので、ケミカルではないものを使っていかに作物を育てるかというのをやるんですけど。コットンの場合は、これは人権の問題でもあるし環境の問題でもあるし、本当にいろんな問題が絡んでいる現状がありますね。

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