夏のオフィススタイルとして「クールビズ」が始まったのは、2005年に環境省が提唱した「ノーネクタイ・ノージャケット」キャンペーンだ。当時の環境大臣は昨年都知事に就任した小池百合子氏だった。その頃はクールビズを実践するビジネスマンは少数派だったが、2011年3月の東日本大震災による電力危機を機に一気に普及し、定着した。現在、「5月から9月末まで」を、環境省はクールビズ期間としている。就活のピークとなる5月頃のビジネス街に、ジャケット、長袖ワイシャツ、ネクタイという服装を見かけることは、ほとんどない。
が、ビジネス街で暑苦しいスーツ姿のままの若者がいるが、それは就活生だ。多くのビジネスマンはノーネクタイなどの軽装なのに、大人と会うために学生はリクルートスーツを着る。滑稽な話だが、学生たちは本当に気の毒だ。
今年の6月下旬にHR総研が行った「2018年新卒採用および2019年新卒採用動向調査」では、「学生にクールビズを推奨」とする企業は企業の3分の1にとどまる。推奨の理由としてもっとも多いのは、「会社がクールビズを採用しているから」というものだ。
クールビズを推奨するのは3社に1社
「弊社がクールビズなので、学生に対してスーツを求めるのは不適切、アンバランスなため」(従業員規模300人以下、情報・通信)、「自社社員がすでにクールビズを採用しているため」(300人以下、マスコミ・コンサル)、「こちらもクールビズで対応しているので、学生にスーツ姿を強いるわけにはいきませんし、リクルートスタイルを特にいいとも思っていないので、楽なスタイルでお越しいただきたいと考えています」(300人以下、メーカー)、「面接官である弊社だけがクールビズでは異様な光景だから」(300人以下、サービス)、「暑い中、ジャケット、ネクタイをしていると体力的にも大変だし、会社としてクールビズを推奨しているため」(1001人以上、情報・通信)
企業の人事担当者にリクルートスーツが必要かどうかを聞くと、圧倒的に「必要ない」という回答が多い。
「弊社はクールビズを採用していない。ただ、学生には、自由に判断してもらうことにしている」(301~1000人、メーカー)、「服装は自主性に任せている。カジュアルウエアの学生も公平な目で見ている」(301~1000人、情報・通信)
夏場の服装としてクールビズを採用していない企業ももちろんある。そんな企業でも、学生に暑苦しい服を強制しているわけではなく、学生の自由な選択に委ねているのが実状だ。
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