「資料を棒読みする人」に人の心は動かせない 「ストーリーテリング」を知っていますか?

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そして、3つ目が【登場人物】。たとえば、「社内で先行して取り組んでいるコスト削減プロジェクトの旗振り役・A部長」です。その人物の性格について描写することに加え、【前提】における役割や、【話の筋】に対する人としての純粋な反応などを語ります。

すると、「A部長の運動を、全社運動に展開することで、自社を筋肉質な企業体質に転換する、本プロジェクトを提案する」というストーリーが出来上がります。

提案内容に賛同する人であれ反対する人であれ、覆しようのない【前提】を共有できているので、聞き手はあなたの【話の筋】に従って話を聞いてくれるのです。

「短いストーリー」で人を動かす

会議でのプレゼンが苦手だ、自分の企画が通らない――こんな悩みを解決する方法は、とてもシンプルです。GE(ゼネラル・エレクトリック)の研修機関=クロトンビルにおけるプレゼン研修のマスタートレーナーとして活躍する著者が「プレゼンの基本」を紹介。(KADOKAWA、本体1400円+税)『世界最高のリーダー育成機関で幹部候補だけに教えられているプレゼンの基本』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

「ストーリーを語るとプレゼンが冗長になるのでは?」と思う人がいるかもしれません。

「スライドで10枚分、時間でいうと20分以下」というプレゼンのグローバルスタンダードに照らし合わせてみても、そんな短い時間でストーリーを語れるはずがないのではないか――と考える人もいるでしょう。しかし、考えてみてください。

たとえばリンカーンのゲティスバーグ演説は3分、ネルソン・マンデラのアパルトヘイト終焉のスピーチは5分、チャーチルの「血と汗と涙」の演説は2.5分。長めの演説でもキング牧師の「I Have a Dream」で有名な人種差別の終焉を訴えた演説が17分。「TED Talks」では18分が上限に設定されています。

「ストーリー」には、人々や社会の変革を促すほどの影響力を持つものから、ちょっとした小話のようなものまでさまざまあります。なにも歴史に残るような大演説をする必要はありません。

ストーリーは、自分で作り上げることもできますが、それよりも自分の経験や考えの中にあるものを「見つけ出す」という感覚も大切です。私たちの日々の生活や、歩んできた人生そのものに、ストーリーを見つけられるはずです。

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