「資料を棒読みする人」に人の心は動かせない 「ストーリーテリング」を知っていますか?

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優れたリーダーたちが“ストーリー”で語ることでプレゼンを成功させているのは、

・「人は、頭で理解しても、心で納得しないと手足が動かない」という事実を、経験的に熟知している
・大量のデータで説得する(知的共感を得る)だけでなく、相手の心・感情に訴えかけて情動的共感を得ることのほうが「人を動かす原動力」になる
・心理学的に「ストーリーを通して伝えることで、20倍も正確に長く記憶に残る」
・ストーリーを聞くと、聞き手の脳内にドーパミン(快感物質)やオキシトシン(信頼ホルモンとも呼ばれる)が分泌される

 

といった理由によります。

いずれにせよ、あらゆるプレゼンテーションで大切なのは、「たくさんの文字」ではなく、「ストーリーで伝える」ことです。といっても、別に難しいことではありません。

私たちは皆、子どものころからストーリーに囲まれて育ってきています。親が読み聞かせてくれた絵本や童話、発明王エジソンやアメリカ初代大統領ワシントンなど偉人たちの伝記、『三国志』などの歴史物語もそうです。

大人になってからでも、たとえば友人との何気ない会話の中で、私たちは無意識のうちに「ストーリー」を語っています。雑談をするときに、“箇条書き”で話すような人はいませんよね。

ところが、ビジネスにおけるプレゼンテーションとなると、とたんに箇条書き調の語り口になってしまうのは不思議です。そんなプレゼンでは、聞き手の右の耳から左の耳に、簡単に抜けていってしまいます。

いいプレゼンに必ずある「3つのポイント」

優れたリーダーは、数多くの修羅場を経験し、ストーリーとして語るネタには困りません。それだけでなく、その経験から得た教訓を、聞き手の立場に立って、聞き手の役に立つように語るのです。

とはいえ、「ストーリーを語るネタ」を集めるために何十年もかけているわけにはいきませんよね。大丈夫です、経営幹部を計画的に育成する企業が「ストーリーで語るスキル」を選別研修のメニューに組み込んでいることからもわかるように、このスキルは「身に付ける」ことができるのです。

私が7年半在籍したGEのリーダー育成機関であるクロトンビルの研修でも、幹部候補育成プログラムでは「ストーリーテリング」の授業が組み込まれ、参加者から大変高い評価を得ていました。

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