日本企業は、なぜこんなにM&Aが下手なのか そもそも買収に消極的すぎる
「日本株式会社」は、革新的なスタートアップ企業の誕生を切望していると同時に、この「禁断の果実」を恐れてもいる。米国の大手企業が熱心に新興企業を買収している一方、日本の大企業は、革新的な新企業を発見し、手中に収め、そして自社のビジネスに取り込もうと躍起になっているのだ。
しかし、日本が国際的な競争力を再び手に入れるには、日本企業はスタートアップ企業の「買収の仕方」を学ばなければならないだろう。かつては、日本企業に限らず大企業はどこも、新たな製品やサービスを開発するのに社内の研究開発チームを頼っていた。が、製品のライフサイクルがどんどん短くなる中、変化のペースについていけるだけの速度でイノベーションを起こせる企業はどんな規模であれ、なくなっている。
「買収」には奥手な日本企業
こうした中、特にハイテク業界において、欧米企業は一歩抜きん出たポジションを維持するために、スタートアップ企業の買収を積極的に行っている。アップルやグーグル、そしてフェイスブックが、自社の資源だけでなく、広く社外からアイデアや技術を募ることで新製品などの開発を進める「オープンイノベーション」を追求しているのである。それに引き換え日本企業は、いまだに閉じたドアの内側で研究開発を行っているのだ。
新興企業とのオープンイノベーションを成功させるカギは、「一歩ずつ進むことにある」と、ベンチャーキャピタル(VC)、ドレイパーネクサスのマネージングディレクターである倉林陽氏は話す。まずは提携して次に出資を行い、最終的には買収するというやり方だ。倉林氏によると、日本企業にとって最初の2ステップは難しくないが、多くは3ステップ目に進むことを躊躇するという。
典型的な提携には、大手企業が自社の顧客に向けてスタートアップ企業が開発したソフトを実装することなどが挙げられる。このやり方であれば、大手、新興企業双方に金銭的な見返りがあるし、新興企業は信頼できる大企業と協業することによって社会的な信頼を得ることができる。一方、大手企業はリスクを冒さずにオープンイノベーションの一歩を踏み出すことができる。
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