日本企業は、なぜこんなにM&Aが下手なのか

そもそも買収に消極的すぎる

たとえば、日本にはビズリーチのように同業他社への転職を狙うハイクラスワーカーを対象としたサービスが出てきている。また、ヤフージャパンは昨年10月、日本の伝統的な採用方式である新卒の一括採用を廃止すると発表。その代わりに、すでに卓越したスキルを持っている人材を採用することに決めた。このほか、ソニーでは、新たなビジネスを迅速に立ち上げる起業家的な従業員をより迅速に昇進させるプログラムを導入している。

こうした方策は歓迎されるべきものだが、よりダイナミックに日本企業を変えるには、政府主導による大胆かつ包括的な労働改革が必要だ。

多くの既得権益を持つ人の人生を変える可能性がある労働改革を実施するのは容易なことではない。終身雇用を信じて働いてきた人が突如職を失う可能性があるからだ。

年齢ではなく、能力を評価すべき

だが、日本企業は今こそ、年齢や勤続年数ではなく、能力に応じて従業員に給料を払う制度に切り替えるべきであり、企業が必要に応じて人材削減を行えるようにするべきだ。今のような、正社員と非正規社員の間に給与や福利厚生の面で大きな差があるような「二重労働市場制度」は廃止しなければならない。

そして最も重要なのは、労働改革によって職を失った労働者のために、今の時代に必要なスキルを学べるプログラムやセーフティネットを用意することである。資金的余裕や過去の経験に欠ける日本政府がこれを提供するのは難しいかもしれないが……。

より柔軟な労働市場が必要なのは何も日本だけではない。多くの欧州諸国も、徐々に二重労働市場を見直し始めており、イタリアやスペイン、ポルトガルでは正社員の既得権益を減らすような法律や取り組みが導入されつつある。また、デンマークは、労働改革を通じて企業が人材の最適配置ができるようにする一方で、職を失った労働者のためのセーフティネットを膨大なコストをかけて構築している。

日本が欧州のまねをする必要はない。が、こうした方向に少しずつ向かうことによって、たとえば大企業に会社を売却した起業家がその資金を違うスタートアップ企業に投資するといった、VC的なエコシステムを構築しやすくなる。こうした投資と成長のサイクルがきちんと構築されれば、日本企業は再び国際的競争力を取り戻せるはずである。

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