「孫正義育英財団」が本格始動、96人を支援 孫代表「お互い刺激し合って」
[東京 28日 ロイター] - ソフトバンクグループ<9984.T>の孫正義社長が私財を投じて設立した育英財団が本格始動した。26日に8歳から26歳までの96人の支援を決定。今後1年にわたり支援金を給付するとともに、支援人材同士の交流の場を無償で提供する。
孫正義代表はきょう開かれた支援施設の開設セレモニーで、選ばれた会員に向けて「場が人を育てる。自分を刺激してくれる人と巡り合うことによって、お互いが刺激し合い、さらに高みにいってほしい」と期待感を示した。
小さな部屋だが志は大きく
東京・渋谷──。クリエイティブ活動の拠点として2017年4月に開業した渋谷キャストの一角に18日、支援施設がオープンした。スーパーコンピューターや3Dプリンター、ドローン(小型無人機)、VR(仮想現実)/AR(拡張現実)関連などの最新機器を用意したほか、生物学や化学、テクノロジーなどの書籍・論文なども取りそろえた。飲食物も用意されており、支援人材はこれら全てを無料で利用することができる。
孫代表は「小さな部屋だが、大きな志と大きな夢をここからスタートしてほしい」と語った。
孫正義育英財団は、人工知能(AI)が人間の能力を超える「シンギュラリティー」を見据え、高い志と異能を持った次世代リーダーの支援を目的に昨年12月に設立された。約1100人の中から選ばれた96人は、起業して事業を行っている大学生やロボット開発の高校生、プログラミングで優秀な成績を収めた実績を持つ中学生などバックグラウンドはさまざまだ。
東京大学大学院で神経科学を研究している浮田純平氏(25歳)は「機械学習と神経科学の両方を理解した上で、神経科学の研究を進めることが両方の分野の発展にとって重要。ここで視野を広げていきたい」と抱負を語った。
96人は今後1年間は準会員として活動し、活動実績が認められれば正会員となる。正会員になると最長4年間、支援が受けられる。会員には準会員期間を含めて最長4年にわたり支援金が給付される。一般的にこの種の支援金は上限が決まっていることが多いが、孫財団は上限が決まっておらず、個別に判断する。
セレモニーに参加した財団理事を務めるみずほフィナンシャルグループ<8411.T>の佐藤康博社長は、孫代表が10兆円のビジョンファンドに挑戦していることを引き合いに出し「孫さんは(著名投資家の)ウォーレン・バフェット氏を超える世界一の投資家になるのは間違いない。その孫さんに選ばれたことはすごいことであり、渋谷から世界を変えていくという大きな気概を持って活躍してほしい」と期待感を示した。
セレモニーには96人のうち45人が参加した。
(志田義寧)
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