さらに、学資保険の満期金でなければ、入学金や授業料に充てることができないのだろうか、個人年金保険の給付金と預金から引き出したおカネでは、老後の利用価値が違うのだろうか、などと考えてみましょう。そんなことはない、とすぐにわかります。
保険との付き合い方や貯蓄について考える際、まず大切なのは、おカネの使い道によって金融商品の選び方が変わってくる、という前提を疑うことなのです。
外貨建て保険の「返戻率」の高さを評価しているか
第2のポイントは、「外貨建て保険」の「返戻率」の高さを評価しているかです。
米ドルや豪ドルで運用する外貨建て保険は、高金利通貨で運用するので、中途解約時や保険料払い込み満了後のおカネの払戻率(返戻率)が円建ての保険より高いと評価している場合、具体的な商品などを知る必要はありません。
確かに、外貨建て保険の返戻率は円建て保険より高くなっています。しかし、あくまで外貨ベースでの話です。為替の変動で、円に換金したときに大幅に減額されるリスクを考えると、「額面どおりに評価できない」とするのが常識です。
本当に外貨での運用が有利なのであれば、保険会社は円の長期金利が下がっても「外貨で確実におカネを増やせる」という理由で、貯蓄商品の値上げなどしないのではないか、と想像してみてもいいかもしれません。
また、返戻率の評価は、コストとの比較抜きには考えられません。冒頭で触れた特集号で「優」の評価を受けている「USドル建て終身保険」を販売している保険会社のサイトでモデルプランを確認すると、積立利率4%の例でも10年間は元本割れが続くのです。
ということは、契約後10年間は4%超のコストがかかる仕組みだと推察されます。「10年間、マイナスが続く契約が有利だろうか、30年後の払戻率に注目するだけではマズいのではないか」と常識で考えたほうがいいはずです。
と、このようなことを書くと「死亡保障を持てる機能を無視した指摘であり、話にならない」といった反論を代理店の方などから受けることがあります。では、一生涯の死亡保障を求めていない単身者などに「終身保険」が資産形成目的で販売されている事実をどのように受け止めたらいいのでしょうか。
仮にも顧客のことを思うのであれば、「死亡保障に要する費用が発生する分、貯蓄性は確実に下がります。手数料も高いので、外貨で死亡保険金を残す必要がある人以外、勧められません」と案内すべきでしょう。
3つ目の判断ポイントは、運用に関する知見が怪しい有識者が登場しているか。
定額積み立てで資産形成をもくろむ「ドルコスト平均法」と呼ばれる手法は、保険料を月払いする貯蓄商品となじみます。とはいえ、「特に有利な方法というわけではない」と明言していない記事などは、やはり一読に値しません。
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