G.G.佐藤が妻とともに送った波乱の野球人生 「死にたい」とまで漏らした男をどう支えたか
それでも隆彦さんは、一歩もひるまず、猛アプローチ。
「一目ぼれしちゃいました。好きになっちゃいました」(隆彦さん)
戸惑う真由子さんに対し、隆彦さんのアプローチはすさまじく、まずは電話やメール攻勢。結局、その押しの強さに負けて、デートすることになった。
初めてのデートにもかかわらず、隆彦さんはいきなりプロポーズ。共通の知人の家で会った時の帰り道には、結婚指輪を渡してきた。
「僕の今年の目標は、ホームラン15本。達成したら結婚してください」(隆彦さん)
真っすぐな隆彦さんの思いに対し真由子さんは
「その倍の30本打ったら結婚してあげる」(真由子さん)
と、無理なお願いをした。すると
「よし、わかった。俺(ホームラン)30本打つよ。そしたら結婚してください」(隆彦さん)
まだ1軍に定着もしていないのに、ホームラン30本を宣言。ちなみに、隆彦さんが、それまでの3年間のプロ生活で放ったホームランは、わずか9本だった。
迎えた2007年の開幕戦。なんと、いきなりホームラン。翌日の2戦目でも、2試合連続でホームランを放ち、勢いに乗った隆彦さんは、4番バッターに抜擢され、ホームランを量産。一気にスター街道を駆け上がった。
30本には届かなかったものの、ホームラン25本を放ち、見事、ブレークした隆彦さん。真由子さんは、隆彦さんの一途な思いを受け入れ、翌2008年1月に結婚した。
結婚1年目の隆彦さんは、ますます絶好調で大活躍し、オールスターゲームに、最多得票で出場することができた。真由子さんと出会って、わずか1年半で、まったくの無名の選手から一流選手の仲間入りを果たしたのだ。
北京オリンピック出場。そこで待っていた悲劇
2008年の北京オリンピックでは、日本代表メンバーにも選ばれた。代表には、現在、メジャーリーグで活躍する、ダルビッシュ有投手や、田中将大投手ら、そうそうたるメンバーが顔をそろえ、日本中が金メダルを期待していた。しかし、この大舞台で待っていたのは、想像を超える悲劇だった。
勝てばメダル獲得が決まる準決勝の韓国戦に、真由子さんも駆けつけた。隆彦さんは、7番レフトで先発出場し、試合は終盤、韓国が逆転。これ以上、点を取られてはならない大事な場面で、まさかの落球をしてしまう。有名すぎる話だ。そのまま敗れた日本は、金メダルの夢を失った。
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