ボーナスが瞬間蒸発する人が陥る「7つの罠」 「損得感情」は巧妙にコントロールされている

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(5)セット割は余計なもの買いの宝庫

「3品買えば10%オフ」「スラックス3本目はゼロ円」などの、“セットで買えば割安ですよ商法”。筆者の著作のタイトルにもなっている「3足1000円の靴下」もこれに当たる。本当に必要な1品を買おうとして、ついついそれ以上の金額を払ってしまう仕掛けだ。

どんなに割引をうたわれても、予定以上のおカネを使うことには変わりはない。しかも、お店としては在庫が減るのでさらにありがたい。消耗品はともかく、3品として選んだのが洋服やスラックスだと場所を取るという問題までついてくる。しかも、セットにするために無理やり選んだ品だとすれば、さほど欲しくないものでクローゼットやタンスが占拠されるのはばかばかしいではないか。割引のために余計なものを買ってはいけない。

30分以内に結論を!

著者の近著『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

(6)この値段は本日限り、の本日っていつ?

テレビ通販のお決まりフレーズ「番組終了後30分以内にお電話いただいた方だけに特別価格」というのがある。今日だけですよという限定をすることで、今買わないと損をするよと惑わせる。さほど欲しくないものでも、限定されると心が動いてしまうものだ。みすみす、この特権を逃していいのかと。しかし、残念ながら、他の日にも同じフレーズをTVは繰り返し放送することだろう。365日のうちたった1日だけ限定しても、その商品が売り尽くせるとは、とうてい思えないではないか。

「先着100名様だけ」「今月に申し込みの方に限り」と、限定のバリエーションはいくつもある。しかし、30分以内に結論を出さないとひどいことになる、という選択は人生にはそれほど多くない。少なくとも、日常の買い物でそこまで自分を追い詰めて判断しなくてもよいだろう。

(7)おなじみ「松竹梅」の錯覚

行動経済学でよく取り上げられる「松竹梅」のわな。選択肢が3つあると、なぜか真ん中を選んでしまう心理をいう。いちばん安いものを選ぶのは気恥ずかしいとはいえ、高いものを買うと失敗したときのショックが大きい。真ん中を選べば、損得もほどほどで済むのではと考えてしまうのだ。そのため、1000円と1500円の2商品が並んでいるときは、躊躇なく1000円を買う人でも、ここに1900円の商品が加わると、なぜか今度はさっきより高い1500円のほうを選んでしまう。うなぎや定食など食べ物でよく見掛ける例だが、商品でもこれは当てはまる。家電の買い替えで、これと決めて見に行った商品が店頭では最安ランクだったら、なんとなく不安になるものだ。つい、これより高スペックの上位機種でもいいかな……と考える。メーカー側もそれを見越してあえて3ランクそろえていることもある。

安いものを買いたいと思っているなら、堂々と最も安いものを選ぼうではないか!と筆者は心から言いたい。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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