(2)店頭に飾ってあるハイブランド品は何のため?
100円引きと100万円引き。どっちがすごいかといえば、もちろん後者だと答えるだろう。しかし、2800万円のマンションと2700万円のマンションが並んでいても、あまり差を感じない。100万円も安いのに。つまりものの値段を絶対値ではなく相対値としてわれわれはとらえている。
バーゲンの50%オフ品が安く見えるのは、元の値段をまず見てしまうためだ。3万9000円のスーツが50%引きで1万9500円になっている品と、もともと1万9500円の品を比べると、たいてい前者が欲しくなる。たとえ普段買っているのが1万4900円のスーツでもだ。
ショーウインドーに飾ってあるハイブランド品もしかり。そのゼロが並ぶ高額な値段を見た後に他の商品を見ると「案外安いじゃないか」と思わされてしまう。われわれは最初に見た数字に左右される。行動経済学では「参照点」からの変化といい、その変化の幅で判断してしまう傾向にあるのだ。買い物は値札だけ見ると危険だ。財布から実際になくなる金額で判断しよう。
(3)「無料」は最強のエサ
損を嫌うという人間の習性からいうと、「無料」なら決して損はないはずと考えるものだ。そのため、一気に心のハードルが下がる。ご来店者に無料でプレゼント、今なら送料無料、分割手数料は無料です……。さまざまな無料は、私たちを招き寄せ、消費への抵抗感を和らげてしまう。
新規オープンの店に行って、来店プレセントだけもらって帰る人はなかなかいない。ドーナツ店で1個が無料でもらえるからと出掛けていけば、ついでにコーヒー1杯くらいはつい頼んでしまうものだ。ほかにも、送料無料ならこっちを買うか、手数料がかからないなら買ってもいいんじゃないと、「無料」のおかげでどんどん買わなくてもいいものを買ってしまう。無料ですよと聞いたら、むしろこれはわなだと見て、近づかないほうが賢明かもしれない。
ポイント消費のために余計なものを買ってしまう
(4)手にした割引の権利は使わないと損?
ネット通販で使える期間限定ポイント。有効期限が近づくと、毎日のようにメルマガがやってきて、「もうすぐ期限が切れてしまいますよ」「使えるのは今日までですよ」と悪魔のようにささやく。せっかく入手したのに使わないともったいない、という気持ちをかき立てる。そして結局、余計なものを買ってしまうわけだ。
同じような例では「次回の食事で使えるお好きなドリンク1杯サービス券」というのもあるだろう。ラーメン店なら「ギョーザ3個サービス券」というところか。このように自分がすでに手にした「もらえる権利」を、みすみす失ってしまうのは胸がきりきり痛むものだ。素直に再び来店して、また同じ券をもらってしまう。これでは無限ループに陥るだけだ。
ぜひとも通い続けたいお気に入りの店でないかぎり、そのお得な気がするサービス券は捨てたほうがいい。ちなみに期間限定ポイントは、筆者はもらっても使わず、いつも期限切れとなる。
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