そのストレッチが実は「筋力低下」を招くワケ 健康科学の「最新常識」知っていますか?

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こうしたストレッチを「動的ストレッチ」と呼ぶ。ストレッチという言葉に反して、どこかの筋を伸ばすというものではなく、軽く走ったりジャンプしたりするような、心拍数を上げる軽い運動のことをいう。

だからジョギングに出掛けるのなら、最初はゆっくりと走り、徐々にスピードを上げていくといい。「15~20年ほど前から、一部の長距離ランナーの間では『ストレッチをすると脚の調子が悪い』という感想が広がっていた。そのため、彼らは徐々にランニングの強度を上げていくことにした」とヌードソン教授。結果、こちらのほうがパフォーマンスが高まることがわかったという。

ヨガでやせることはない

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もう1つ。近年男性にも人気が出てきたヨガは、ダイエットにまったく効果がないどころか、かえって太りやすくさせることが、最新の科学によってわかった。もちろんヨガの効能は多数ある。ストレスの低下、やる気を上げ、体の柔軟性が増し、より良いセックスができるようにもなる。

しかし、ピューリッツァー賞を受賞したサイエンスライターのウィリアム・ブロードは、「ヨガは体の代謝率の”低下”に極めて効果的なことが判明した。すべての条件が同じならば、ヨガを実践する人は燃焼するカロリーが少ないため、体重が増えやすく、脂肪が蓄積されやすくなる」と論じている。

さらにブロードは、「ヨガで体重管理に成功した人は、科学的なエビデンスによれば、代謝を上げるという影響によって成功したのではなく、代謝を下げるという影響にもかかわらず成功したといえる」と述べている。つまり、ヨガはダイエット目的でやるには不向きのエクササイズだったということが証明されたのだ。

流行とされるものの科学的エビデンスを調べてみると、実は効果がなかったり、逆効果になっていることが少なくない。テレビでは、同じ健康法を2週連続で放送するわけにはいかないし、流行がなければ業界が潤わない。だからこそ、マスコミはつねに新しい情報を紹介して、「部分的に正しいこと」を専門家に語らせる。しかしそれは、総合的な健康にはつながっていないことが多い。

たとえば、禁酒をすると心臓病に罹患しやすくなるうえ、寿命が短くなるというエビデンスもあるし、グルテンフリーの食品は、グルテンの代わりに糖質や脂質を添加してボソボソしないように作られているため、かえって太りやすくさせるというエビデンスもある。ぜひ科学に裏付けられた情報を知って、総合的に健康をアップさせてほしい。

健康のために我慢していたことにも科学的な根拠がなかったと知れば、人生はもっと潤いに満ちたものになる。それこそが健康度を上げることにもなるのだから。

ジェフ・ウィルザー 作家、ライター

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Jeff Wilser

ニューヨーク市ブルックリン在住。著書にアメリカ合衆国の建国の父の1人アレクサンダー・ハミルトンの生涯を追い、アメリカで話題となった伝記『Alexander Hamilton's Guide to Life』などがある。『ニューヨーク・マガジン』『エスクァイア』などの雑誌や、ロサンゼルス・タイムズ、シカゴ・トリビューンなど新聞に寄稿するほか、BBCなどテレビ番組への出演も多数。

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