造船にLNG船特需、韓国勢への反撃なるか シェールガス革命でLNG船の特需到来
三菱重・今治造船がタッグ
世界的に見れば、今やLNG運搬船は韓国造船大手の独壇場だ。韓国勢は1社で年間10隻以上の建造能力と価格競争力を武器に海外大型案件を次々と受注。かつて世界をリードした日本勢の存在感は乏しい。ただし、日本国内に限れば話は別。国内の電力・ガス会社は長年の信頼関係がある国内造船会社に発注するのが常識で、今回のLNG運搬船も日本勢への発注が確実視されている。
こうした需要を手中に収めようと、国内造船大手は準備を進めている。LNG運搬船で国内最多の実績を誇る三菱重工は4月、造船専業最大手の今治造船と合弁会社MILNGカンパニーを立ち上げ、LNG運搬船の営業を一本化した。建造分担も視野に入れた提携で、2社合計で年間8隻の建造が可能だ。三菱重工の大宮英明会長は、「これから何年かは多くのLNG船の需要が出てくる。今治造船と組んで、それを総取りしようと思っている」と、提携の狙いを明かす。
そこに待ったをかけるのが、実績2位の川重、さらに再参入組の三井造船とJMUだ。三井造船は得意とする舶用エンジンの技術を生かし、燃費性能に優れたガスたきの低速ディーゼルエンジンを開発。それを搭載したLNG運搬船の受注を目指しており、業界関係者らを工場に招待してエンジンのデモ運転を行うなど売り込みに懸命だ。
JFEホールディングスとIHIの造船子会社が今年1月に合併したJMUも、独自の大型LNG運搬船を開発中。安全性が高いIHIのSPBタンクを採用した船で、「LNG運搬船を合併新会社の大きな柱にする」(JMU幹部)と鼻息も荒い。
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