国民の厳しい視線で「安倍戦略」は狂い始めた

8月改造で出直し狙うも、党内で批判が高まる

ただ、「露骨な人気取り人事は、首相の政権運営への焦りを際立たせるから逆効果」(首相経験者)との声も少なくない。首相も「小泉氏は来年秋の総裁3選時の党・内閣人事の目玉にしたいと考えている」(周辺)とされ、橋下氏周辺も「入閣なんてありえない」と苦笑する。

その一方で、これまでの安倍人事のポイントだった「女性登用」も壁に突き当たっている。

現在の女性閣僚は高市早苗総務相、丸川珠代五輪担当相、稲田朋美防衛相で、いずれも「安倍応援団」とされ、党内の男性議員から不満が出る原因ともなってきた。それだけに「人心一新という以上、女性閣僚も総交代させるべきだ」(自民若手)との声が出るが、「これはという新たな女性閣僚候補がいない」(自民幹部)のも事実。知名度の高い元女優の三原じゅん子参院議員の抜擢も取りざたされているが、「国会質問で『八紘一宇』(はっこういちう)の重要性を力説したことがあり、新たな火種になりかねない」(同)との不安も拭えない。

「政策で結果を出して信頼回復」という首相の意向を重視すれば「目玉のない地味で実務型の新体制のほうが政治不信の拡大を防げる」(首相経験者)というのが常識的な見方だ。

支持率続落、「首相を信頼できない」が急増

前通常国会での「共謀罪」法の強引な会期内成立が「加計学園疑惑隠し」と受け取られて国会閉幕直後に急落した内閣支持率は、都議選自民惨敗後の7月上旬の調査でも続落した。朝日新聞では支持33%(前回調査比マイナス5ポイント)に不支持47%(同プラス5ポイント)、読売新聞では支持36%(同マイナス13ポイント)に不支持52%(同プラス11ポイント)、NHKが支持35%(同マイナス13ポイント)に不支持48%(同プラス12ポイント)で、支持はいずれも第2次政権発足後最低記録を更新した。

特に女性の支持率はいずれも20%台にまで落ち込んでいる。女性の社会進出を政策の目玉にしてきた首相にとって「女性の支持が減ったのは頭が痛い」(自民幹部)状況だ。しかも急増した不支持の理由をみると、「首相を信頼できない」が断然トップで5割に迫っている。

都議選最終日の街頭演説で口にした「こんな人たちには負けるわけにはいかない」との発言に象徴される「首相の言動への不信と不満」の表れで、首相周辺も「極めて深刻な事態」と頭を抱える。菅官房長官は10日の記者会見で「一喜一憂すべきではないが、国民の声として真摯に受け止めたい」と語ったが、「首相自身が言動を改めないと人事などの小手先の対応での支持率回復は期待できない」(首相経験者)のが実態ともみえる。

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