カンロ「金のミルク」30億円商品に育った理由 なぜ低迷している飴市場でヒットしたのか

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カンロの「濃い贅沢 金のミルク」。低迷する市場の中で、2012年の登場以来、じわじわと売り上げを伸ばしている(撮影:梅谷秀司)

そろそろ日本列島も夏本番だ。夏になれば欲しくなるのは、やっぱり「アイスキャンディ」。一方、同じキャンディでも通常の「飴(あめ)」の主戦場は秋冬。最近は「オフィス内が乾燥している」「ストレスの緩和に」など、季節と関係ない需要もあるものの、やはり夏は大きく売れ行きが落ちる。

季節の問題だけではない。市場全体で見ても、飴の売れ行きは減少傾向にある。民間企業・インテージの全国小売店パネル調査によると、現在のキャンディ市場規模は約2000億円だが、そこからグミを除いた市場はピークだった2003年ごろから見て、直近で約20%減少している。

後塵を拝していたカンロ

そんなキャンディ市場の中でジワジワと売り上げを伸ばしているのが、業界2位であるカンロの「濃い贅沢 金のミルク」(19粒入り、税込み店頭実勢小売価格204円)だ。2012年に登場するや、5年間で同社のキャンディ分野ではトップの売り上げ(推定年約30億円弱)を占めるまでになった。

同社の応用研究部課長で「金のミルク」を作った責任者である佐藤慎士さん(39)は、「妥協せずにおいしさを追求したのが消費者に受け入れてもらえたのかもしれない。ここに来るまでは、失敗の連続でした」と語る。

カンロは1912年(大正元年)創業の老舗。現在、業界2位だが、実はミルクキャンディ分野では、長い間、味覚糖の「特濃ミルク」や不二家の「ミルキー」シリーズの後塵を拝していた。出しても出しても、2社の牙城を崩せず、何度も敗退する時代が続いた。

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