「親が貧しい子」は勉強でどれだけ不利なのか 100点満点のうち「平均20点」も低い現実
その回答結果は、驚くべきものであった。回答者70人全員が塾に通った経験者である。しかも過半数近くが入学前に3年間も通っていた。2年間の人が25.7%、4~6年間が22.9%もいる。
ほとんどの灘高生が入学前の2~6年間も、灘中・灘高入試に備えて塾に通って、入学試験を突破しているのである。この数字は灘高の在校生のものであり、不合格者で塾に通った人は含まれていないので、中学入試、高校入試に備えて塾に通う生徒は非常に多いのである。
この調査で筆者が最も驚いたことは、灘高生の全員が入学前に塾通いしていたことよりも、現役の灘高生がほぼ80%も在学中に塾に通っていることを知ったことであった。
灘卒業生である50年前の筆者の時代、塾に通っている同級生をほとんど知らなかったが、今では在校生の8割弱が塾に通う時代なのである。当時もZ会などの通信教育を受ける生徒はいたが、学校を終えて夕方、あるいは休暇中に塾や予備校に通っていた同級生をあまり知らないので、今の姿には隔世の感がある。
親の年収で学力テスト約20点もの差
さて、現在の日本ではどのような子どもが塾に通えるのだろうか。もとより塾は学校外教育の私立校なので学費を払わなければならない。義務教育である小・中学校において公立学校に通えば授業料を収める必要はないが、塾通いは家計にとって経済的な負担増になる。このことは通塾率に影響があるのだろうか。
その前に親の年収と子どもの学力との関係を知っておこう。文科省が実施した全国学力テストの結果を、親の年収別に小学校6年生の国語と算数の正答率で見ていこう。
この調査からわかるのは、親の年収が高い児童ほど高い学力を持っていることと、国語よりも算数にその効果がやや強いということ、最低の学力と最高の学力を持っているのは、親の年収の最低(すなわち200万円未満)の児童とそれが最高(すなわち1500万円以上)の児童であり、その差は国語でおよそ20点弱、算数で20点強ということである。
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