「親が貧しい子」は勉強でどれだけ不利なのか 100点満点のうち「平均20点」も低い現実
子どもの学力というのは本人の能力と努力にも依存するので、親の年収だけで必ずしも決まるものではないが、親の年収差によって子どもの学習環境に違いが生じることは当然のこととして想定できる。そのひとつが塾である。
中学受験予定家庭は非受験家庭の6倍を塾に支出
次に、世帯収入別に、自分の子どもに学校外教育費をいくら支出しているかを見てみよう。スポーツ活動、芸術活動などへの支出額もあるが、ここでの注目は塾を中心とした教室学習活動への支出である。ついでに小学生に関しては中学受験を予定しているかどうかに区別して、支出額を調べた。
まず3種類の年収別(すなわち400万円未満、400万~800万円未満、800万円以上)に、教室学習活動費はそれぞれが1カ月に3200円、6100円、1万3300円であり、年収が高くなるにつれて2倍、4倍と増加している(2013年)。年収の高い家庭ほど高い支出をしているので、塾に通っている確率は高いし、複数の科目を塾で受講している可能性が高い。
まとめれば、親の経済力と子どもが塾に通う程度には強い正の相関があり、通塾すれば学力が高くなることを確認しているので、親の年収の高い子どもの学力を高めているひとつの要因と想定できる。
この調査は小学生、中学生、高校生が対象であったが、対象を小学生に限って中学受験の予定を聞いたほうが、より直接に塾の意味を理解できる。
この比較で衝撃的なことは、中学受験を予定している小学生の家庭では1カ月におよそ2万4000円も支出しているのに対して、しない予定の家庭ではおよそ3900円にすぎず、実に6倍ほどの差がある。中学受験対策として高額の塾費用を支出していることが明確である。
親の年収別の数値はないが、年収の高い家庭ほど高い塾支出をしていることは、明白に想像できる。
冒頭で、灘高生の8割が塾通いしていると紹介したが、全国的な調査でも親の収入が高いほど、子どもの学力が高く、子どもに塾通いをさせる傾向があることが見てとれた。
裕福な家庭の子どもは、小学校から塾に通い、名門私立中に入学して、在学中も塾に通って難関大学に合格するというコースを歩める。一方で、貧しい家庭の子どもは、公立校で落ちこぼれてしまっても補習塾に行けない。
親の収入によって、塾などの学校外教育を受けることのできる家庭と、学校外教育を受けることができない家庭との間で機会不平等が生まれている。「生まれ」による格差を減らすため、政府には教育支出の増加と、少人数教育や教員の増員等による学校教育の充実を期待したい。
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