人間が過去の記憶を都合悪く解釈しない理由 記憶力に自信がない?水分足りていますか?
体の水分不足で記憶力が下がる
真夏になると話題に上るのが熱中症です。
熱中症に至る危険因子の1つは脱水症です。水分は体重の60~70%を占めます。その3%が失われただけで、頭痛や嘔吐や食欲低下などの症状が生じます。それほど水分は体にとって大切だということになります。
近年、水分は健康のみならず、記憶力や学習能力にも影響することが明らかになってきました。たとえば、コネティカット大学のアームストロング博士らが2011年に発表した論文によれば、水分の損失が、たとえ体重の1%以下であっても、記憶力の低下や認知エラーが起こるといいます。1%の水分損失は、頭痛はもちろん、のどの渇きすら感じない量です。この程度の脱水は、夏季だけでなく、一年中起こりうるレベルです。
イーストロンドン大学のエドモンズ博士らが、水分補給と脳機能の関係を詳しく調べています。たとえば、小学校低学年の生徒58人を対象に、物語を読んで聞かせるテストを行っています。物語の内容を4択問題で思い出してもらったところ、平均点は2.8点でした。ところが、20分前に約250mlの水を飲んだ生徒では点数が約10%も上昇しました。特に難しい問題の正答率が高まっているのが興味深いところです。
ちなみに、この試験は春季3月に行われたものですから、夏季特有のひどい脱水症状とは無関係です。おそらく生徒たちは、日常的に水分が不足している状態にあるため、わずかに水分を補給するだけで、認知能力が回復するのでしょう。では大人の場合はどうでしょう。
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